しょうかかんかんしつしゅよう
消化管間質腫瘍(GIST)
消化管の粘膜の下にできる腫瘍の一種
7人の医師がチェック 77回の改訂 最終更新: 2022.10.17

GISTが疑われたときに行う検査について:画像検査や悪性度の判断など

GISTは検診のために受けた内視鏡検査やCT検査などの画像検査で偶然見つかることが多いです。GISTが疑われたときには、GISTかどうかを確かめる検査や、悪性度を判断するための検査が行われます。

1. 問診

GISTの人はほとんどが無症状ですが、まれに腹痛などの自覚症状が出る場合があります。問診では以下のような点について質問されます。

  • 腹痛があるか、腹痛がある場合はどのような時に痛くなるのか
  • おなかを触ったときに腫瘍のもり上がりを触れるか
  • 消化管出血の症状はあるか(便に血液が混じる、真っ黒な便が出る、など)

その他に、過去に治療した病気、現在治療中の病気、普段から服用している薬などの情報は診断や治療のために重要ですので質問されることがあります。

2. 身体診察

身体診察とは、お医者さんが身体の様子を見たり触ったり、聴診器で音を聞いたりして詳しく調べることです。GISTが疑われた人では、腹部を中心に身体診察を行います。

  • 押されて痛みが出ないか
  • 腫瘍のもり上がりを触れる場所がないか

GISTの人は身体診察でも目立ったサインがないことが多いです。

3. 画像検査

GISTでは、腫瘍の大きさや存在する場所を調べたり、良性か悪性かを区別するために画像検査が重要です。GISTは内視鏡検査で偶然見つかることが多く、見つかったときのサイズによってそのあとに行う検査が異なります。

  • 見つかったときのサイズが2cm未満の場合
    →良性であることがほとんどのため追加検査は行わず、年1-2回の頻度で定期的に検査し様子をみます。
  • 2cm以上、5cm以下の場合
    →CT(またはMRI)検査やEUSで精密検査を行い、病理検査を行うこともあります。
  • 5cmを超える場合
    →手術が必要になることがあるため、CT(またはMRI)検査、EUSで精密検査を行います。術前に病理検査を行うこともあります。また、腫瘍の広がりを確認する目的でPET検査を行うこともあります。

GISTが疑われたときに行う画像検査は以下のようなものです。

  • 上部消化管内視鏡検査
  • 下部消化管内視鏡検査
  • 超音波内視鏡検査(EUS)
  • CT検査
  • MRI検査
  • PET検査

上部消化管内視鏡検査

いわゆる「胃カメラ」検査です。先端にカメラのついた細い管(内視鏡)を口や鼻から入れて、食道・胃・十二指腸の観察を行います。

上部消化管内視鏡で観察する範囲のうち、GISTが最もできやすいのは胃です。特に胃の入口付近(穹隆部、体上部)に見られることが多く、「粘膜下腫瘍」と呼ばれる比較的なだらかな隆起が見られます。表面は正常な粘膜でおおわれており、大きな腫瘍では胃潰瘍を伴っていることもあります。

日本では検診が普及しているため、内視鏡検査で偶然GISTが見つかることが多いです。このような場合は、5cm未満の小さな腫瘍で本人の自覚症状は全くないことがほとんどです。

下部消化管内視鏡検査

いわゆる「大腸カメラ」検査です。先端にカメラのついた細い管(内視鏡)を肛門から入れて、主に大腸の観察を行います。

GISTが大腸にできることは多くないため必ず行う検査ではありませんが、CT検査などで大腸のGISTが疑われた場合には下部消化管内視鏡検査を行うことがあります。大腸においてもGISTは「粘膜下腫瘍」と呼ばれる比較的なだらかな隆起として観察されます。

超音波内視鏡検査(EUS)

超音波内視鏡(EUS)は、胃カメラの先端に超音波装置(エコー装置)がついた特殊な内視鏡です。食道や胃、十二指腸の壁に超音波装置をおしあてて、壁の奥にある臓器を超音波を使って観察することができます。

GISTは消化管の四層構造(粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜)のうち筋層から発生する腫瘍ですので、例えば胃のGISTであれば、胃の壁の内部(粘膜下層と漿膜に挟まれた場所)に腫瘍の本体があります。この場合、胃カメラによる粘膜面の観察だけでは不十分ですので、超音波を使って腫瘍本体の特徴を観察する必要があります。EUSでは腫瘍の大きさや腫瘍内部の状態を調べます。また、観察に引き続いて病理検査であるEUS-FNAB(EUSガイド下穿刺吸引細胞診・穿刺生検)を行うことができます。

CT検査

CT検査とは放射線を使って身体の断層画像を撮影し、身体の内部を詳しく観察する検査です。造影剤と呼ばれる薬を点滴しながら撮影する「造影CT検査」では、血液の豊富な場所(血管など)に造影剤が多く流れ込み、画像のコントラストが鮮明になってより詳細な評価が行えます。また撮影のタイミングを変えながら複数回画像を撮影することで(ダイナミック撮影)、時間経過とともに造影剤の分布が変わることを利用してさらに診断の精度を上げることができます。

GISTでは腫瘍の大きさ、存在する場所、良性腫瘍悪性腫瘍か、周りの臓器や血管との位置関係、転移性腫瘍(リンパ節転移、肝転移など)があるかどうか、を調べるためにCT検査を行います。

胃のGISTは内視鏡で見つかることが多く、2cmを超えるような腫瘍ではCT検査(またはMRI検査)を行うことが推奨されています。また、他の病気を調べるために撮影したCT画像で偶然GISTが見つかることもあります。

小腸は胃の次にGISTができやすい場所です。通常の内視鏡検査では小腸を観察することはできませんので、小腸のGISTを詳しく調べるためにはCT検査が必須です。

MRI検査

MRI検査では磁石から発生した磁場を使って身体の断層画像を撮影します。CT検査と違って放射線被曝がないことが長所ですが、撮影時間が長いことや、体内に金属(ペースメーカーなど)がある人や閉所恐怖症の人は原則として撮影できないことが短所です。

GISTは消化管にできる腫瘍ですので、消化管の蠕動(食べ物を送り出すための動き)の影響を受けます。MRIは撮影時間が長いため消化管蠕動による画像のぶれが生じやすく、GISTの検査としてはCTよりもやや不向きと言えます。

PET検査

PET検査では、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た薬に放射性同位元素を付けた18F-FDGという薬を注射します。GISTやがんなどの腫瘍はブドウ糖を多く取り込む性質がありますので、18F-FDGは正常の臓器よりも腫瘍に多く取り込まれます。放射性同位元素から出された放射線を感知する機械を用いて撮影すると、腫瘍の場所がはっきりと映し出されます。

PET検査は放射性同位元素を使う検査ですが、放射線被曝の量はCT検査よりも少ないと言われています。

GISTの検査としては、腫瘍の全身への広がりを調べるための検査として用いられます。ただし18F-FDGの取り込みが少ない腫瘍はうまく描出できません。

4. 病理検査

病理検査は、腫瘍から細胞をとって顕微鏡でその特徴を調べる検査です。GISTに典型的な特徴が見られた場合には診断を確定することができます。

顕微鏡ではまず細胞の形を観察します。GISTでは紡錘形細胞という細長い形の細胞が見られることが多いです。次に核分裂像(細胞増殖が盛んであるというサイン)の数を数えて、GISTの細胞がどのくらい増えやすいのかを調べます。核分裂像が多いほど腫瘍細胞が増えやすく、転移や再発を起こしやすい「リスクが高い」腫瘍であると言えます。

また、「免疫染色」という特殊な検査を行い、GISTの特徴であるKITたんぱく質やCD34が見られるかどうかを調べます。特にKITはGISTの95%で陽性になるとされており、KIT陽性が確認できればGISTと確定診断できます。まれに免疫染色でも診断がつかない場合があり、遺伝子検査でc-kit遺伝子やPDGFR遺伝子の変異を調べることもあります。

GISTに対する病理検査には、①内視鏡生検、②EUS-FNABの2種類があります。これらは上部消化管内視鏡または超音波内視鏡(EUS)を使って細胞をとる検査で、比較的負担が少なく安全に行うことができる検査です。ただし、GISTの本体は消化管の壁の中にあるため、消化管の表面にできる胃がんなどに比べて細胞をとるのが難しいと言われています。そのためうまく細胞がとれなかったり、免疫染色などの詳しい検査を行うために十分な量の細胞がとれないこともあります。

内視鏡生検

上部消化管内視鏡(胃カメラ)を使い、生検鉗子という道具を使って腫瘍組織をつまみとります。比較的大きなGISTで胃潰瘍を伴っている場合は、潰瘍の部分に腫瘍本体が露出しているため、この部分から生検を行うことで腫瘍細胞を採取することができます。ただし多くの場合、GISTは粘膜下腫瘍として観察され腫瘍の表面は正常の胃粘膜でおおわれているため、腫瘍の本体を生検することは難しいです。

EUS-FNAB(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診・穿刺生検)

EUS-FNABは超音波内視鏡(EUS)で腫瘍を観察しながら、専用の針で腫瘍を刺して内部の細胞を採取する方法です。消化管の壁の中にある腫瘍本体を直接刺して病理検査を行うことができるため、GISTの病理検査ではEUS-FNABが行われることが多いです。2013年に保険適用の検査法となり、当初は限られた施設でのみ検査が行われていましたが、現在では多くの病院でEUS-FNABが行われています。また、採取される細胞の量が少ないことが課題でしたが、穿刺針の改良によってより多くの細胞を取ることができるようになってきています。

消化管の壁を貫いて針を刺す検査のため、出血や穿孔(穴があくこと)などの偶発症がまれに起こります。

5. GISTの悪性度を判断するには?

GISTの悪性度は治療後(手術後)にどのくらい再発しやすいかという観点から定められており、これをGISTの「リスク分類」と呼びます。リスク分類は腫瘍の大きさと、腫瘍細胞を顕微鏡で見たときの核分裂像の数を指標としています。核分裂像は細胞が分裂する際に見られる像で、これが多いほど増殖のスピードが速いと考えられます。

簡単に言うと、腫瘍が大きく核分裂像が多いほどリスクが高い腫瘍とされます。具体的には下のような表で判断します。

リスク分類 腫瘍の大きさ 核分裂像の数*
超低リスク 2cm未満 5個未満
低リスク 2~5cm 5個未満
中リスク 5cm未満 6~10個
5~10cm 5個未満
高リスク 5cmより大きい 5個以上
10cmより大きい (数は問わない)
(サイズは問わない) 10個以上

*核分裂像の数は、顕微鏡を高倍率(400倍率)にして観察したときの50視野あたりの数

このリスク分類は「Fletcher分類」とも呼ばれます。また、この分類を改良した新たな分類もいくつか報告されていますが、基本的な考え方はほとんど同じです。

参考文献

・日本治療学会:がん診療ガイドライン(GIST)
GIST研究会ホームページ
・国立がん研究センター希少がんセンター:GIST(消化管間質腫瘍)
・Morgan J, Raut C P, Duensing A, et al. Epidemiology, classification, clinical presentation, prognostic features, and diagnostic work-up of gastrointestinal stromal tumors (GIST). UpToDate (最終更新2020/7/14)