たいべんきゅういんしょうこうぐん
胎便吸引症候群
胎児が分娩前に胎便を羊水中に排泄し、それを出生時に吸い込んで呼吸困難を起こした状態
5人の医師がチェック 59回の改訂 最終更新: 2017.12.06

胎便吸引症候群の基礎知識

胎便吸引症候群について

  • 何らかの原因で胎児が羊水内に胎便(胎児の腸管内容物)を排泄し、それを気道内に吸引することで起こる病気
    • 胎児が低酸素にさらされることや予定日超過が胎便排泄の原因となる
    • 早産児では起こりにくい
    • 新生児仮死に合併しやすい 
    • 胎便により気道が閉塞されること、化学性の肺炎が起こること、肺を膨らませる成分(サーファクタント)の働きが阻害されること等により呼吸障害が生じる
  • 全ての分娩のうち0.1-3%程度で起こると考えられている
    • 羊水中への胎便排泄は全分娩の10-20%程度で起こる
    • 胎便を排泄した胎児の約5-10%で胎便吸引が起こる
  • 肺高血圧(肺の血圧が上昇すること)を生じることもあり注意が必要
  • 新生児仮死に合併しやすいこともあり、脳に障害を残すこともある
  • 合併症の有無により生命予後は大きく変わる

胎便吸引症候群の症状

  • 生まれた直後から様々な程度の呼吸障害を起こす
    • 多呼吸
    • 鼻翼呼吸(鼻を膨らませるような呼吸)
    • 呻吟(うーうーとうなるような呼吸)
    • 陥没呼吸(胸とお腹の間や鎖骨の間などがへこむような呼吸)
    • チアノーゼ
  • 無治療では、時間経過とともに呼吸障害が進行していくことが多い
  • 気胸細菌感染による肺炎、肺出血を合併することも多い
  • 肺高血圧が進行すると、下半身のみチアノーゼがみられることもある

胎便吸引症候群の検査・診断

  • 分娩時の羊水の濁り(深緑色のどろどろとした羊水)や新生児の皮膚・爪の胎便による汚染などにより、羊水中への胎便排泄が分かる
  • 呼吸を補助するために気管の中を吸引すると、胎便混じりの液体が吸引できる
  • 過期産児や低酸素にさらされたことが疑われる児で、上記の胎便排泄所見とともに呼吸障害がある場合に胎便吸引症候群と診断される
  • 胸部X線レントゲン)写真:無気肺や肺の過膨張、気胸の有無などを確認する
  • 血液検査:特に血液ガスの検査は低酸素血症、高二酸化炭素血症、アシドーシス(体が酸性に傾くこと)の有無を知る上で重要
  • 心臓・頭部超音波検査肺高血圧の進行がないか、低酸素による脳の障害がないかを確認する

胎便吸引症候群の治療法

  • 軽症の場合は酸素を投与するだけで呼吸が落ち着くこともあるが、多くの場合に気管挿管が必要になる
    • 口の中から管を入れて、呼吸を手助けする
    • 気管挿管中は動いて管が抜けたりすると危険なので、鎮静(薬で眠らせること)や筋弛緩薬が必要になる
    • 呼吸状態が落ち着くまで授乳はできない
    • ある程度呼吸が落ち着いた時点で、鼻から胃に通した細い管(胃管)から母乳(もしくはミルク)を少量投与することがある
    • 栄養や水分の補給は点滴から行う
    • 生理食塩水で気道内を洗浄する(肺を膨らませる物質:サーファクタントを使うこともある)
    • 1週間前後は気管挿管が必要なことが多いが、重症度により大きく変わる
  • 細菌感染が疑われるような場合には抗菌薬を使用する
  • 新生児では呼吸障害に伴い、血圧が低下したり徐脈になることも多い
    • 必要に応じて血圧をあげるような薬剤を使用する
  • 気胸を伴った場合は、細い管を胸部に刺して肺を膨らませる
  • 肺高血圧を伴い重症化した場合には、一酸化窒素吸入療法や膜型やECMO(体外循環の一種)が必要になることもある

胎便吸引症候群のタグ

胎便吸引症候群に関わるからだの部位

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