ふくあつせいにょうしっきん
腹圧性尿失禁
おなかに力が入ったことで、尿が漏れしてしまう状態
7人の医師がチェック 116回の改訂 最終更新: 2025.12.21

腹圧性尿失禁の症状について:尿失禁の種類も含めて

腹圧性尿失禁の主な症状は「尿もれ」です。ですが、一口に尿もれ(尿失禁)といっても実はいくつかタイプがあります。ここではまず尿失禁の種類について説明し、引き続いて腹圧性尿失禁の症状について詳しく説明します。腹圧性尿失禁の症状だけを知りたい人は先に「2. 腹圧性尿失禁の主な症状について」を読んでください。

1. 尿失禁には種類がある

尿失禁は平たく言うと「尿もれ」になりますが、実は尿もれにはいくつかパターンがあります。原因や症状の特徴から4つに大別されることが多いです。

【尿失禁の種類】

  • 腹圧性尿失禁
  • 切迫性(せっぱくせい)尿失禁
  • 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
  • 機能性尿失禁

腹圧性尿失禁については後で詳しく説明するので、まず他の尿失禁について説明します。

切迫性(せっぱくせい)尿失禁

急に尿意をもよおし我慢できずに漏らしてしまうのが、切迫性尿失禁です。尿意は予兆なく急なので、常時トイレが近くにないと生活がしづらくなります。膀胱機能を調節する神経の異常によって膀胱が過剰に収縮すること原因と考えられています。そのため治療では主に膀胱の収縮を抑える薬が用いられます。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

自分の意思で排尿ができず、膀胱に溜まった尿が溢れるように出てしまうのが溢流性尿失禁です。尿意を感じる場合と感じない場合の両方があります。膀胱から尿が出しにくくなる病気が主な原因になります。具体的には、前立腺肥大症(男性)や子宮脱(女性)、神経因性膀胱尿道狭窄などです。溢流性尿失禁を良くする方法は、原因となる病気を治療することです。 それぞれの病気の治療法については、リンク先で確認してください。

機能性尿失禁

身体機能や認知機能の低下によって、トイレにたどり着くことができず尿もれを起こすのが、機能性尿失禁です。認知症や歩行障害といった病気が背景にあるので、改善が難しいことが多いです。そのため、解決にはトイレの場所を作り変えたり、ポータブルトイレを利用したりといった環境面での整備が必要になります。

2. 腹圧性尿失禁の主な症状について

腹圧性尿失禁の症状も「尿もれ」ですが、尿もれが起こる状況がある程度限られている点で他のタイプの尿失禁と異なります。

【腹圧性尿失禁が起こりやすい状況】

  • 咳をしたとき
  • くしゃみをしたとき
  • 急に立ち上がったとき
  • 重い荷物をもちあげたとき
  • 運動をしたとき

上のリストの状況に共通するのが、「お腹に力が入りやすい」ということです。腹圧性尿失禁の人では、お腹に力が入ると「尿もれ」が起こります。一方で、お腹に力が入らない状況、例えばリラックスした状況で座っているときに尿もれが起こることはまれです。 また、切迫性尿失禁でみられるような尿意の異常は通常ともなわないと考えられています。

ただし、腹圧性尿失禁に切迫性尿失禁が混在する「混合性尿失禁」という状態が存在し、これに当てはまる人では、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の治療を併行して行わなければならない場合があります。適切な治療につなげるため、腹圧性尿失禁の可能性が高い人でも、排尿で気にかかることを漏れなくお医者さんに話すようにしてください。

参考

泌尿器科領域の治療標準化に関する研究班, EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン, じほう, 2004