がいはいようけいせいいじょう(がいはいよういけいせいしょう)
外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)
胎児の形になる前の組織の中でも外胚葉(がいはいよう)と呼ばれる部位に起きた異常。外胚葉は将来的に皮膚、毛、爪、汗腺、歯などになる
6人の医師がチェック 105回の改訂 最終更新: 2019.02.19

外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)の基礎知識

POINT 外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)とは

胎児は内胚葉・中胚葉・外胚葉という3つの組織から形作られます。そのうち外胚葉に起こる異常を外胚葉異常と言います。外胚葉はその後、皮膚や毛、汗腺、歯などに変化し、成長とともに皮膚や毛、爪、歯に異常が現れます。皮膚では「炎症や感染が起こりやすい」「色素遅着(赤色や褐色)」、毛では「頭髪や体毛が薄くなる」「毛の色が薄くなる」、爪では「爪が分厚くなる」「ゆがみ」「にごり」などが具体的な症状です。現れた症状に応じて治療が行われます。主に皮膚科や小児科、歯科などで治療が行われます。

外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)について

  • 胎児の形になる前の組織の中でも外胚葉(がいはいよう)と呼ばれる部位に起きた異常。外胚葉は将来的に皮膚、毛、爪、汗腺、歯などになる
    • 外胚葉とは、妊娠中の母親の体内で育つ胎児の組織の一部
    • 外胚葉由来組織とは、外胚葉に由来する皮膚の組織(皮膚、毛、爪、汗腺など)や歯のこと
  • 男女ともに発症する
    • 150近くの原因遺伝子が報告されている
  • 代表的な分類
    • 無汗性外胚葉形成不全:無汗、毛や歯の形成異常
    • 発汗性外胚葉形成不全:爪、毛、手のひらや足の裏の多角化、皮膚の色素沈着
  • 一部の感染症にかかりやすくなる
  • 炎症性腸疾患に合併しやすい(20%以上)

外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)の症状

  • 症状の現れ方
    • 成長とともに皮膚、毛、爪、汗腺、歯に症状が現れる
  • 皮膚の症状
    • 炎症や感染を起こしやすくなる
    • 赤色や褐色の色素沈着が見られる
  • 毛の症状
    • 頭髪や体毛が薄くまばらになる
    • 毛がもろくなる
    • 巻き毛やよじれ毛になる
    • 色が薄くなる
  • 爪の症状
    • 分厚くもろくなる
    • 伸びが遅くなる
    • 形がゆがむ
    • 色がにごる
  • 歯の症状
    • 一部が生えてこない
    • エナメル質の減少
  • 目の症状
  • 耳の症状
    • 聴覚障害
  • 口、鼻からの分泌物の減少
  • その他にみられる症状
    • 手のひらや足の裏に角層肥厚が生じる場合
      • 亀裂による出血
      • 痛み
    • 汗腺の形成不全を合併する場合
      • 汗の産生の減少
      • それに伴い体温調節が困難になる
  • 一部の感染症にかかりやすくなる
    • 抗酸菌
    • ヘルペス属ウイルス

外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)の検査・診断

  • 小児科あるいは皮膚科専門医の診察により、診断される

外胚葉形成異常(外胚葉異形成症)の治療法

  • 治療は、症状のある部位により様々
    • 歯の場合は歯科矯正や入れ歯、インプラントなど
    • 脱毛の場合はかつらを使用する
    • 眼のケアが必要になる場合もある
    • 汗腺形成不全の場合は体温調節が困難なため、夏の生活環境の温度調節が重要
    • 感染予防のためにガンマグロブリンを投与したりST合剤と呼ばれる抗菌薬を投与する
    • 感染に弱い時は、BCGなどの予防接種で感染してしまうことがあるので、予防接種の可否を慎重に判断する必要がある
    • 炎症性腸疾患を合併したいた場合は、それに準じた治療を行う

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