慢性扁桃炎の基礎知識
POINT 慢性扁桃炎とは
扁桃腺の感染が慢性化した状態です。のどの痛みや発熱、だるさなどの症状が出現し、感染を放置すると扁桃腺以外にも合併症を起こすことがあります。その代表例が、掌蹠膿疱症・IgA腎症・胸肋鎖骨過形成症などになります。細菌感染が原因であれば抗菌薬を用いますが、合併症が出現している場合や年間に何回も感染が繰り返される場合には扁桃腺の摘出を行います。 感染症の治療は、内科・感染症内科・耳鼻科で行うことができますが、扁桃摘出術を行うのであれば耳鼻科にかかることが望ましいです。
慢性扁桃炎について
- 持続的なのどの違和感や痛み、発熱、だるさなどが持続し、
扁桃 (のどちんこの横)が腫れる病態 - 主な原因
細菌 感染- 細菌感染のほとんどが溶連菌(溶血性連鎖球菌)が原因
ウイルス 感染
- 慢性化している場合はのどへのダメージが原因となることもある
- 喫煙
- 飲酒
- 化学物質の吸入
- 分類
- 扁桃腺が
慢性的 に感染することで腎臓の機能が落ちることがある- 繰り返す扁桃腺炎が原因となって
腎機能 が低下している場合には、扁桃腺を摘出することで腎機能の低下が抑制されることがある
- 繰り返す扁桃腺炎が原因となって
慢性扁桃炎の症状
慢性扁桃炎の検査・診断
- 血液検査:
炎症 の程度を調べる - 尿検査:尿の中に感染している菌の有無を調べる
細菌検査 :扁桃 に感染している細菌 を調べる
慢性扁桃炎の治療法
抗菌薬 や炎症 を抑える薬のを使用する- 起炎菌によって治療方法は変わってくるが、溶連菌感染が原因の場合は抗菌薬は10-14日間使用する
- 治療がうまくいかない場合や
扁桃 の周囲に膿 が生じている場合は抗菌薬治療を長く行うことがある
- 抗菌薬の治療で改善しない場合や何度も扁桃炎を繰り返す場合には、扁桃を切除する手術を行うことがある
慢性扁桃炎の経過と病院探しのポイント
慢性扁桃炎が心配な方
慢性扁桃炎は、いわゆるのど風邪を繰り返すような病気です。のどの奥にある扁桃が腫れ、熱が出るといった経過を1年に数回繰り返すというのが典型的な経過です。かぜをひいたら扁桃(のどの周囲)が腫れるのは一般的なことなのですが、その頻度が高いことや扁桃の炎症(腫れ、赤み、膿など)が強いものを指して慢性扁桃炎と呼びます。
上記のような症状の心当たりがあってご自身が慢性扁桃炎でないかと心配になった時には、内科や小児科、耳鼻科のクリニックの受診をお勧めします。単回の症状であれば急性扁桃炎と呼び、対症療法を行いますが、何度も繰り返すようであれば手術を勧められることがあるでしょう。
レントゲンやCTなど特殊な検査が必要な病気ではありませんので、診断のために大病院を選んで受診する必要はありません。
慢性扁桃炎でお困りの方
単回の症状であれば急性扁桃炎として対症療法や抗菌薬の内服を行いますが、それを繰り返す場合、手術が勧められることがあります。手術は扁桃を切り取るものです。扁桃を取ることで、それ以降の扁桃炎を予防することができます。また、扁桃炎を繰り返すことで他の病気(IgA腎症、掌蹠膿疱症など)が引き起こされることもありますので、これらの病気を予防することも手術の目的の一つです。
慢性扁桃炎の手術は、緊急で行う必要はありません。手術を勧められながらも様子を見ていて、やはりその後も何度も感染を繰り返すために手術を受ける決心をなさる方もいます。1週間ほどの入院が必要ですし、やはり初めて受ける方にとって手術は怖いものです。ご自身が決断できない状態で手術を受けることはできませんし、その意味でも信頼できる主治医を見つけることは大切です。疑問や心配ごとを尋ねることができて、納得のいく説明が得られる医師とともに、治療法を判断されるのが良いと思います。
実際に手術を行うことになるのは耳鼻科の医師です。内科や小児科の医師でもある程度のことは答えられますが、手術に関連した細かい質問や疑問があれば、改めて耳鼻科医を受診するというのも良いでしょう。その場合にはかかりつけの医師から診療情報提供書(紹介状)をもらった上で受診することをお勧めします。病状に関する質問に答える上で普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。たとえばかかりつけのクリニックで、「手術を受けるかの最終判断はまだつかないでいるのですが、一度手術を前提で、手術が受けられる病院に相談してみたいと思っています。診療情報提供書を頂けますか?」などと相談してみるのが良いかと思います。
慢性扁桃炎のタグ
慢性扁桃炎に関わるからだの部位

