[医師監修・作成]肝血管腫がある人が知っておきたいこと | MEDLEY(メドレー)
かんけっかんしゅ
肝血管腫
肝臓にできる良性の腫瘍。血管の組織の異常によりできる、血液が豊富に流れる腫瘍。基本的に治療は行わないでよい
9人の医師がチェック 104回の改訂 最終更新: 2021.07.16

肝血管腫がある人が知っておきたいこと

ほとんどの肝血管腫で治療は必要なく、症状が出たり命がおびやかされるようなことはまず起こりません。しかし、肝臓に腫瘍があるといわれたら不安を感じるかもしれません。ここでは、肝血管腫がある人が抱きがちな疑問に答えます。

1. 肝血管腫に関する疑問

肝血管腫は他の病気の検査や健康診断などで偶然見つかることが多いです。お医者さんから思いがけず肝臓の腫瘍を指摘されて驚くと思いますが、がんとは異なるものなので心配しすぎる必要はありません。

肝血管腫はがんになることはあるのか

肝血管腫は良性の腫瘍であり、がんになることはまずありません。ただし、肝血管腫のなかには、がんと見分けがつきにくいものがあり、追加の検査が必要になる人がいます。健康診断の超音波検査などで「肝血管腫の疑いのため精密検査が必要」と言われた人は、肝血管腫以外の病気の可能性もあるので、早めに精密検査を受けるようにしてください。

肝血管腫は自然となくなるのか

肝血管腫が自然と消えることは、少数ながらあります。47人で見つかった68個の肝血管腫の大きさを観察した研究では、平均38ヶ月にわたって経過を追ったところ、大きさが変わらなかったものは63個、消失したものは3個、縮小したものは1個、増大したものは1個でした。

多くの肝血管腫で大きさは変わらず、なかには自然と消えるものもあるといえます。

肝血管腫は遺伝するのか

肝血管腫が遺伝するかどうかは、はっきりとはわかっていません。肝血管腫の発生に遺伝が関係しているという報告も少数ありますが、遺伝以外の多くの因子も影響しているのではないかと考えられています。

肝血管腫はアルコール摂取と関係があるのか

肝血管腫とアルコールの摂取に関係があるかどうかはわかっていません。アルコールをたくさん飲む男性で肝血管腫が増大したという報告がありますが、はっきりと結論づけられてはいません。しかし、大量の飲酒は肝臓の機能低下をはじめ身体に多くの影響を及ぼすことがわかっています。肝血管腫の有無に関わらず、お酒は控えめにするほうが健康のためには良いといえます。

肝血管腫と診断された人の余命はどれくらいか

肝血管腫があっても、肝血管腫がない人と余命は変わらないと考えられます。強いてあげれば、カサバッハ・メリット症候群や肝血管腫の破裂による出血大量が生命に関わることはありますが、これらは極めてまれなことです。

2. 肝血管腫の検査や治療に関する疑問

肝血管腫かどうか調べるために追加で検査が必要といわれた人が知っておくと良いことについて説明します。また、治療を勧められた人からよく受ける質問についても答えます。

肝血管腫の疑いがあると言われたら何科に相談すれば良いか

主に消化器内科で検査を受けられます。また、医療機関によっては肝臓内科という診療科で診察をする場合もあります。一般的な内科でも対応可能な場合も多いので、まずは、かかりつけの内科のお医者さんに相談するのもよいです。

肝血管腫の精密検査の費用はどのくらいかかるのか

肝血管腫の主な精密検査は画像検査です。ここでは、画像検査にかかる費用について自己負担が3割の時の概算を示します。(2019年5月現在)

  • 腹部超音波検査造影検査をしない場合):3000-4000円程度
  • 造影CT検査:9000-11000円程度
  • 造影MRI検査:10000-12000円程度

画像以外の検査や診察、処方などがあれば別途費用がかかります。上記はあくまでも目安なので、実際の費用は医療機関に確認してください。

肝血管腫を治す薬はあるのか

肝血管腫を根本的に治す薬は今のところありません。そもそも肝血管腫は治す必要がないことが多いですが、まれに、巨大な肝血管腫や、肝血管腫に凝固異常(出血を止める機能の異常)を伴った状態であるカサバッハ・メリット症候群合併した人には、治療が必要となります。治療が必要となった人が、外科的手術やカテーテル治療に併せて、薬物治療としてβ遮断薬やステロイドインターフェロン抗がん剤を使うことはありますが、効果についてははっきりとわかっていません。

肝血管腫を治療したあと再発することはあるのか

肝血管腫が手術後に再発したという患者さんはゼロではありません。しかし、一般的には肝血管腫の再発は少ないと考えられており、過度に心配する必要はありません。

参考文献

・日本医学放射線学会および日本放射線科専門医会・医会ガイドライン作成委員会/編, 「肝海綿状血管腫の画像診断ガイドライン 2007年度版」 
・小林多鶴子 他, 肝血管腫の自然経過の検討, 日本消化器病学会雑誌, 1995;92:41-6
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