かさばっはめりっとしょうこうぐん
カサバッハ・メリット症候群
巨大血管腫に、血小板の減少や凝固系の異常を合併し、強い出血傾向を示す幼少時の病気
6人の医師がチェック 34回の改訂 最終更新: 2018.11.20

カサバッハ・メリット症候群の基礎知識

POINT カサバッハ・メリット症候群とは

巨大な血管腫(主な構成組織が血管である腫瘍)に血小板の減少や凝固の異常がともなう病気のことです。出血しやすい状態にあります。出生時または生後3ヶ月までに発症し、血管腫は比較的速やかに大きくなり、外見上は暗赤色から紫色の血管腫になることが多いです。播種性血管内凝固症候群や多臓器不全をともなうことがあり、死亡することもあります。血液検査や画像検査、病理検査(腫瘍の一部を切り取り顕微鏡で見る検査)によって診断が行われ、ステロイド薬や抗がん剤などが治療に用いられます。カサバッハ・メリット症候群は小児科や皮膚科で診療が行われます。

カサバッハ・メリット症候群について

  • 巨大血管腫に、血小板の減少や凝固系の異常を合併し、強い出血傾向を示す病気
    • 血管腫の内部で出血が起きて、血小板が消費されることで血小板減少が引き起こされる
    • カポジ様血管内皮腫が原因で起こることが多い
  • 出生時または生後3ヶ月までに発症し、血管腫が比較的速やかに増大して、全体が暗赤〜紫色の巨大血管腫となることが多い
  • 20-30%が死亡すると言われている
    • 亡くならなければその後は腫瘤も小さくなって問題なく生活できるようになる
  • 難病に指定されており、申請を行えば医療費の補助を受けることができる

カサバッハ・メリット症候群の症状

  • 大きな赤い血管腫と呼ばれるあざ状の皮疹が、生まれつき存在しているか、あるいは乳幼児期に増大する
    • 手足に多いが、内臓を含む全身に生じうる
  • 血管腫内で血小板が消費されて、軽い刺激で出血しやすくなるなどの症状が出る
  • 重症化すると播種性血管内凝固異常症(DIC)や多臓器不全が起こる

カサバッハ・メリット症候群の検査・診断

  • 主に血管腫があることと、血液検査の値などで診断する
  • 血液検査:血小板減少や血液凝固異常の有無を調べる
  • 画像検査
    • 超音波検査:血流を確認して血管腫を診断する
    • MRI検査:深部病変の広がりと周辺臓器との関連を評価する
  • 病理組織検査
    • 腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる

カサバッハ・メリット症候群の治療法

  • 確立された治療法は無い
    • 保存的なものから、薬物療法、局所療法 (放射線療法など)、血管内治療、外科的切除などがある
    • 血管腫を小さくするための治療だけでなく、対症療法として輸血療法、抗DIC療法、循環・呼吸管理、感染予防などを適切に行う必要がある
    • これらの治療の効果が薄い場合には、血管内治療(経動脈的塞栓術)を行なうことがある
  • 薬物療法
    • ステロイド剤
    • 免疫抑制剤
    • オンコビン(抗がん剤の一種)
    • インターフェロン
    • 抗血小板薬   など
  • 早期に発見して治療を開始できていれば完治する場合もある

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