[医師監修・作成]肝血管腫はどのような病気なのか | MEDLEY(メドレー)
かんけっかんしゅ
肝血管腫
肝臓にできる良性の腫瘍。血管の組織の異常によりできる、血液が豊富に流れる腫瘍。基本的に治療は行わないでよい
9人の医師がチェック 104回の改訂 最終更新: 2021.07.16

肝血管腫はどのような病気なのか

肝血管腫は、健康診断や他の病気のために受けた画像検査で偶然見つかることが多い病気です。肝臓にできた腫瘍の一種で、血管が異常に増殖して塊になっています。腫瘍といっても良性の腫瘍でがんに変化することはなく、症状がなければほとんどの人で治療の必要はありません。このページでは肝血管腫の概要として、症状や原因、検査、治療について説明します。

1. 肝血管腫とは何か

肝血管腫は肝臓の腫瘍の中で最も多く見つかるものです。血管腫とは血管が異常にたくさん作られて塊になったもので、その形状から「海綿状血管腫」と「毛細血管性血管腫」に分類されます。肝血管腫のほとんどが海綿状血管腫であり毛細血管性血管腫は極めてまれであるため、このページでは主に海綿状血管腫について説明をします。

肝血管腫は肝臓で最も多い良性腫瘍である

腫瘍には悪性腫瘍良性腫瘍があります。悪性腫瘍の代表的なものが「がん」であり、進行すると全身に広がり生命を脅かします。一方で、良性腫瘍は周りに広がることはなく、また大きくなるスピードもがんより遅いことが多く、命を脅かすことはほとんどありません。肝臓の主な悪性腫瘍としては肝細胞がん肝内胆管がんがあり、良性腫瘍には肝血管腫や肝細胞腺腫などがあります。

肝臓にできる腫瘍の半分以上が肝血管腫であることが知られており、肝臓で最も多い腫瘍です。

どれくらいの人に肝血管腫が見つかるのか

報告によって異なりますが、日本人の1から10%に肝血管腫があるといわれています。

男性と女性のどちらに多いのか

研究によって男女の比は一定しませんが、肝血管腫は女性にできやすいという報告が多いです。肝血管腫ができる要因については、詳しくは分かってはいませんが、女性ホルモンの関与が考えられています。

どの年齢に多いのか

30歳から50歳に受けた健康診断などの画像検査で偶然見つかることが多いです。ただし、全年齢で画像検査を行った調査はないため、実際にはどの年齢でかかる人が多いのかはわかっていません。

2. 肝血管腫の症状について

肝血管腫があっても、ほとんどの人が無症状です。まれに肝血管腫が大きくなった人には「お腹の膨らみ」「お腹の痛み」「食欲不振」などの症状が出ることがあります。また出血を止める機能が働かなくなるカサバッハ・メリット(Kasabach Merritt)症候群になった場合には「青あざができる」「鼻血が出やすい」といった症状が出ます。

3. 肝血管腫の原因について

肝血管腫の原因はわかっていません。女性ホルモン、妊娠、経口避妊薬、遺伝などが肝血管腫を引き起こす要因となる可能性も指摘されていますが、はっきりとはわかっていません。

4. 肝血管腫の検査について

肝血管腫が疑われる人は、問診や身体診察に加えて、血液検査、画像検査(腹部超音波検査CT検査、MRI検査)などを受けます。検査の主な目的は、肝血管腫以外の病気と見分けることです。また、肝血管腫の治療が必要になる人はほとんどいないものの、大きな肝血管腫などでは治療が必要かどうか追加の検査を受けることになります。検査についてはこちらで詳しく説明しています。

5. 肝血管腫の治療について

ほとんどの肝血管腫の人に治療は必要ではありません。しかし、極めてまれですが、症状が出るほど大きくなった肝血管腫では治療することがあります。代表的な治療には、カテーテル治療や手術があります。詳しくはこちらのページで説明していますので参考にしてください。

6. 肝血管腫について知っておいてほしいこと

肝血管腫はがんになることはなく、症状が出ることはほとんどないので、多くの人にとって心配する必要がないものです。しかし、中にはがんと見分けがつきにくい肝血管腫があり、定期的な検査が必要になることがあります。また、極めてまれではありますが、大きな肝血管腫などで治療が必要になることもあります。肝血管腫が疑われて精密検査が必要と指摘された人は、必ず受診して詳しく調べてもらってください。