肝血管腫の検査について
肝血管腫が疑われた人は、肝血管腫と他の病気との区別をするために検査を受けることになります。特に肝臓がんや胆管がんといった、
1. 血液検査
肝血管腫で血液検査が異常な値になることはほとんどありません。肝血管腫以外の病気が隠れているかや、肝血管腫の人にまれに起こる血液異常があるかの判断のために用いられます。肝血管腫が疑われた人では主に以下の血液検査が参考にされます。
- 血算(
白血球 数、赤血球 数、血小板 数など) - 生化学検査(AST、ALT、γGT、総
ビリルビン 、直接ビリルビン、ALPなど) - 凝固・線溶関連検査(PT:プロトロンビン時間、FDP:フィブリン・フィブリノーゲン分解物など)
たとえば、血算は血液中の白血球や赤血球、血小板といった細胞の数を数える検査です。肝血管腫が破裂し出血した人では血液中の赤血球が減り、追加の治療が必要になる場合があります。
生化学検査には、肝臓機能の指標となるAST、ALT、γGT、総ビリルビン、直接ビリルビン、ALPなどが含まれます。これらの値が異常であれば、肝血管腫以外の肝臓の病気が見つかることがあります。
凝固・線溶関連検査では、PT(プロトロンビン時間)、FDP(フィブリン・フィブリノーゲン分解物)などの値から、出血を止める機能の異常が確認できます。肝血管腫の人に極めてまれに起こるカサバッハ・メリット症候群ではこれらの値は高くなります。
2. 腫瘍マーカー
腫瘍マーカーとは、がんが発生すると増加する特徴的なタンパク質です。腫瘍マーカー検査は血液中に含まれる腫瘍マーカーの量を測定する検査で、がんの発見に役立つ場合があります。
肝血管腫があっても腫瘍マーカーは異常な値になりませんが、肝臓がんがあるとAFP、AFP第3分画、PIVKA-IIなどの腫瘍マーカーが異常に高い値になることがあります。また、胆管がんや、大腸がんの肝臓への
3. 画像検査
肝血管腫かどうか調べるには画像検査が重要です。画像検査には主に
造影剤の原理について
画像検査のときに造影剤という薬剤を血管内に注射することがあります。画像は白黒ですが、造影剤が流れている部分はクッキリと映るので、コントラストがはっきりして体内をより鮮明にみることができます。また、
肝血管腫は迷路のように入り組んだ多くの血管の塊なので、流入した造影剤が中心部に到達するまでに時間がかかかります。一方で、肝臓がんでは肝動脈という太い血管が発達しているため、早期に全体に造影剤が行き渡って、すぐに腫瘍外に造影剤が流れ出ます。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)
超音波は人間には聞こえない高い音のことです。超音波を発生するプローブとよばれる機械をお腹に押し当てて検査をします。臓器まで到達し跳ね返ってきた超音波の量を測定することで、臓器の形を画像として見ることができます。超音波検査では副作用の心配はありません。
造影剤を注射して超音波検査をすることがあります。超音波検査で使用する造影剤は、CT検査やMRI検査の造影剤が身体に合わない人も使用できることがあります。ただし、肝臓の超音波検査で使用する造影剤は、卵
腹部CT検査
CT検査の造影剤は、気管支喘息、ヨードアレルギー、褐色細胞腫の人や
腹部MRI検査
MRI検査では磁力を利用して身体の断面を映し出すことができます。強力な磁力を使用するため、人工関節などの金属や
MRI検査の検査時間は、検査内容や機種によっても多少異なりますが、およそ30分間です。検査中は狭い場所で動かないでいることが必要です。そのため、閉所恐怖症の人は受けられないことがあります。
MRI検査でも他の画像検査と同様に、造影剤を使用するとさらに詳しく見ることができます。造影剤を用いたMRI検査は、肝血管腫を診断する精度が高いといわれています。CT検査の造影剤と同様に、MRIの造影剤は、気管支喘息の人やアレルギー体質の人、腎臓の機能が低下している人には使用できないことがあります。
4. 肝臓の組織を詳しく調べる検査:肝生検と病理学的検査
肝