低血糖とはどんな病気?
血液の中には
1. 低血糖とはどんな状態のことなのか?
低血糖(英語名:hypoglycemia)とは、
2. 低血糖の症状について
低血糖はその程度によって現れる症状が異なります。
- 初期(軽症)の症状
- 汗をかく
- 手足が震えたりしびれたりする
- 吐き気がする
- 嘔吐する
動悸 がする、脈が早くなる- 空腹感がある
- 進行したときの症状
- めまいがする
- 頭痛がする
- 眠気がある
- あくびがでる
- イライラする
- つじつまのあわないことを言う
- さらに進行したとき(重症)の症状
- 意識を失う(
昏睡 ) - 痙攣が起こる
- 意識を失う(
低血糖による症状は糖分を身体に補うことによって改善します。初期の段階で気づいて対処できれば進行を予防できます。早めに手をうつためにも、ここで説明した症状を理解しておくことが大切です。より詳しい説明は「低血糖の症状について」を参考にしてください。
3. 低血糖の原因について
身体が正常に機能するためには血糖値を維持しておく必要があります。このため、人は血糖値が簡単には下がらないような仕組みをもっており、健康な人に低血糖が起こるのはまれです。
低血糖の原因の多くは糖尿病治療薬(血糖値を下げる薬)の効果が強く出過ぎることです。その他のまれな原因には、肝臓や腎臓の機能の低下や低血糖を起こす
4. 低血糖の検査について
低血糖の可能性がある人には次のような診察や検査が行われます。診察や検査の目的は「症状の原因が低血糖かどうかの確認」と「低血糖の原因を調べること」の2つです。
問診 - 身体診察
- 血液検査
- 画像検査
低血糖でみられる症状は他の病気でも起こることがあるので、診察や検査で見分けます。最も重要なものは血糖値を調べる血液検査です。血液検査で血糖値が低い場合には、症状の原因として強く考えることができます。
また、診察や検査ととともに、治療への反応も診断において重要な手がかりにされます。
例えば、血糖値が50mg/dL以下で意識がなくなっている人がいたとします。意識がなくなる原因は低血糖以外にもありますが、血糖値が低い人には検査を行う前に血糖値を上げる治療を行います。血糖値を上げた結果、意識状態が良くなれば、低血糖によって起こったと強く考えることができます。一方、血糖値が正常になっても症状が改善しない場合には、他の病気が疑われるので、画像検査などで詳しく調べられます。 また、低血糖の多くは糖尿病治療薬の副作用によって起こりますが、それ以外の原因が考えられる場合にも画像検査が行われます。詳しくは「低血糖の検査や診断について」を参考にしてください。
5. 低血糖の治療について
低血糖は糖分を補うことで血糖値が上昇し症状の改善が見込めます。初期の低血糖には口から糖分を摂取するだけでよくなることが多いです。低血糖になりやすいと言われている人は、即効性が高いブドウ糖や糖分が多い食品(チョコレートや飴など)を低血糖に備えて普段から持ち歩くとよいです。一方で、低血糖が進行して意識がなくなったり痙攣している人は、口から糖分を摂取するのは難しいので、医療機関での治療が必要です。
詳しくは「低血糖の治療について」を参考にしてください。
6. 低血糖の予防について
低血糖を起こしやすい人は食事や生活面で注意すべきことがあり、注意をすることで低血糖が起こりにくくなります。低血糖を起こす原因はのほとんどは糖尿病治療薬の副作用によるものなので、ここでは、糖尿病治療薬を使っている人の低血糖の予防について説明します。
予防のための食事の注意点について
糖尿病治療薬を使っている人が低血糖を予防するためには、食事で次の3点に気をつけてください。
- 食事のカロリー
- 食事の間隔
- 食事がとれないときの対応
糖尿病治療薬の量や使うタイミングは、患者さんの普段の食事のカロリーや間隔を想定して、決められてます。このため、食事内容の偏りや間隔の乱れがあると、想定した以上に薬の効果が強く出てしまって、低血糖になることがあります。そのため、食事の時間や摂取カロリーを乱さないことが低血糖の予防につながります。 また、体調不良などで食事がとれないときに普段通りに薬を使うと、低血糖を起こす可能性があります。食事がとれないときの対応をあらかじめかかりつけのお医者さんと相談しておいてください。
予防のための生活面の注意点について
日常生活の中にも低血糖を起こしやすくするものがあるので、注意が必要です。次の3つを守るようにしてください。
- 多量の飲酒を避ける
- 薬は量を守って使う
- 空腹での運動は避ける
多量の飲酒は低血糖を起こす引き金になることが知られているので、避けてください。糖尿病を治療中の人がお酒をまったく飲んではいけない訳ではないのですが、量を控えめにすることが大切です。 また、薬の量も必ず守ってください。自己判断で薬の量を調節してしまう人がいますが、危険なので避けてください。 空腹時の運動も低血糖を起こしやすくします。運動前には糖分の摂取をすると予防ができるので、空腹での運動は避けてください。 「低血糖の予防について」でより詳しく説明しているので参考にしてください。
【参考文献】
「ハリソン内科学 第5版」(福井次矢、 黒川 清 /監修)、MEDSi、2017
「ワシントンマニュアル 第13版」(髙久史麿、和田 攻/監訳)、MEDSi、2015