でんせんせいこうはん(りんごびょう)
伝染性紅斑(りんご病)
風邪のような症状に加えて、顔や腕、脚の皮膚が赤くなる感染症。
12人の医師がチェック 105回の改訂 最終更新: 2018.07.25

伝染性紅斑(りんご病)の検査や治療について

伝染性紅斑(りんご病)は症状や流行状況などによって診断されますが、血液検査で抗体を調べることがあります。またりんご病には特効薬はなく、自然に治るのを待つ間に症状を和らげるための対症療法を行うことがあります。

1. りんご病が疑われたときに行われる検査について

りんご病は頬や手足の紅斑、関節痛などの症状や周囲の流行状況によって診断されますが、症状などから診断がつかない場合には血液検査が行われることがあります。

血清学的検査(抗体検査)

症状や周囲の流行状況などによってりんご病の診断がつかない場合には、血液検査を行いパルボウイルスB19の抗体を調べることがあります。

病原体などの異物(抗原)が体内に入ってくるとそれを排除しようとして抗体が産生されます。抗体にはいくつかの種類がありますが、りんご病で調べることがあるのはパルボウイルスB19のIgM抗体とIgG抗体です。パルボウイルスB19のIgM抗体は感染後7-10日以内に上昇し始め、2-3か月間陽性が続きます。一方IgG抗体は感染から2週間後に上昇し始め生涯陽性が続きます。

パルボウイルスB19-IgMが陽性の場合、あるいはパルボウイルスB19-IgGを発症時と4-6週間後の2回測定し4倍以上値が上昇している場合に、りんご病と診断されます。

ただしパルボウイルスB19の抗体を保険で測定できるのは、妊婦でりんご病が疑われる場合のパルボウイルスB19-IgMだけです。

なお、パルボウイルスB19-IgMは感染後2-3か月間、中には6か月以上陽性が続くことがあるので、特にIgMが基準値を少し超える程度の値で陽性に出た場合には必ずしも今回の感染とは言えない(数か月前の感染を反映している)可能性があります。また膠原病などで陽性となることのある自己抗体(自分の組織に対して作られる抗体)を持っていると、パルボウイルスB19-IgMが偽陽性になる(感染していないのに陽性になる)ことがあるので、結果の解釈には注意が必要です。

2. りんご病が疑われたときに行われる治療について

りんご病は自然に治る病気です。原因ウイルスを直接治療する薬(抗ウイルス薬)はありません。症状を和らげるための治療(対症療法)を行います。

りんご病に特効薬は存在しない

りんご病には原因ウイルスであるパルボウイルスB19に対する抗ウイルス薬はありません。このため原因を直接治療する方法はなく、症状を和らげる治療である対症療法を行います。

重症の人に行われる対症療法(解熱鎮痛薬、免疫ブロブリン療法、点滴補液)

発熱や関節痛を和らげるために解熱鎮痛薬を投与することがあります。ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。ロキソプロフェンナトリウムを使用すると熱や痛みが3-4時間軽減されます。ロキソプロフェンナトリウムの副作用には消化性潰瘍や腎障害などがあります。

白血病の人、臓器移植を受けた人、免疫不全のある人では、りんご病の原因であるパルボウイルスB19が慢性感染を起こし貧血を来たすことがあります。このような場合に免疫グロブリン製剤を投与する免疫グロブリン療法を行うことがあります。免疫グロブリン製剤とは、献血で集められた血液から免疫グロブリン(抗体)を取り出し作られた血液製剤で、重症感染症自己免疫疾患などに投与されます。

りんご病を治す点滴はありません。りんご病は自然に治る病気ですが、まれに症状が重く飲食ができなくなり脱水症になることがあります。このような場合には脱水症の治療のために点滴や補液を行います。りんご病は幼児から学童がかかることが多く最も多いのが5歳児ですが、乳児がかかることもあります。乳児では特に脱水症になりやすく注意が必要です。飲食できずに尿の量が減り、泣いても涙が出ないときや、元気がなくぐったりしているときには脱水症の恐れがあります。小児科を受診してください。

りんご病に予防接種(ワクチン)は存在しない

りんご病には予防接種(ワクチン)がありません。

りんご病はくしゃみや咳で飛ばされる水滴(飛沫)を吸い込んだり手で触れることで口や鼻の中に入ったりして人にうつるので、手洗いやうがい、マスクの着用で感染を予防します。

りんご病で他人への感染力が高いのは皮疹や関節痛などの症状が出る前で、何も症状が出ていないか、発熱や頭痛などインフルエンザでも出るような症状だけが出ている時期です。この時期にはりんご病にかかっていると気が付かないうちに周りにうつす可能性があるので注意が必要です。りんご病は数年毎に流行がみられます。住んでいる地域でりんご病が流行しているときは、手洗いやうがい、マスクの着用で感染を予防してください。特に今までりんご病にかかったことのない妊婦は、りんご病にかかるとまれにお腹の赤ちゃんに影響が出ることがあります。人混み(特に子どもの多く集まる場所)を避け、風邪症状の出ている人には近づかないなどの対策を行ってください。