あいじーえーけっかんえん(へのっほしぇーんらいんしはんびょう)
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)
アレルギー反応により全身の毛細血管に炎症が起こり、全身にむくみが起きたり、内出血が起こる病気。多くの場合は、自然に治る。
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最終更新: 2022.03.24
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の基礎知識
POINT IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)とは
アレルギー反応により全身の毛細血管に炎症が起こり、全身のむくみや内出血が起こる病気です。足を中心に赤い発疹がパラパラと現れます。子どもに多く、IgAという抗体が関わっているとされていますが、はっきりした原因は分かっていません。赤い発疹に加えて腹痛や腎障害、関節痛を伴うことがあります。子どもで起きた場合は自然軽快することが多いです。一方で、大人で起きた場合や、腎臓の障害を起こした場合は見通しがあまり良くありません。薬物治療としては軽症例では非ステロイド性抗炎症薬やレクチゾール、重症例ではステロイドや免疫抑制剤などの薬剤を使用します。お子さんの場合は小児科、大人の場合には皮膚科や内科で診療が行われます。
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)について
- 全身の細い血管の壁に炎症が起こって、様々な症状を起こす
- 患者の30-50%で、症状の現れる1-2週間前に上気道感染を起こしている
- 感染をきっかけに免疫反応が刺激されている可能性は指摘されているが、明らかな原因は不明
- 溶連菌感染症や食物、虫さされ、ワクチンなどとの関連も報告されている
- 血管がダメージを受けることで、皮膚、消化管、腎臓で特に目立った症状が現れる
- 2-8歳の子どもに起こることが多い
- 10万人あたり、10-20人程度
- 冬に多く、女児より男児に多い
- 子どもで起きた場合の見通しは良いことが多い
- ただし、大人で起きた場合や、腎臓の障害を起こした場合は見通しが悪い
- アナフィラクトイド紫斑病と呼ばれることもある
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の症状
- 主な症状
- 皮膚症状:紫斑(ほぼ全例)
- 両すねの前側が典型的だが、足の甲、おしり、顔、腕にもみられる
- 赤-紫色の盛り上がった小さな発疹がいくつも集まる
- 2mm以下の点状出血が多いが、より大きなものもある
- 褐色になって3-10日間で徐々に退色する
- 同時もしくは皮疹に先立ってむくみがみられることもある
- おしりやまぶた、唇、陰嚢、手足の甲など
- 消化器症状:腹痛(70%)、吐き気(20%)、血便(10%)
- 腸重積を起こすことがある(約3%)
- 関節症状:膝や足首の関節痛(約65%)
- 関節周囲のむくみを伴う
- 皮膚症状:紫斑(ほぼ全例)
- 症状は同時に出現する場合と数週間から数か月間隔をあけて少しずつ出現する場合がある
- 腎障害を起こすと、血尿やたんぱく尿が出る
- 頻度は20-60%と報告によりばらつきがある
- 発症から1~3週間後にみられることが多い
- ネフローゼ症候群や腎機能の低下を認めることもある
- 腎障害の程度により自然に改善する場合と長期的に治療が必要な場合がある
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の検査・診断
- 特異的な発疹やその他の症状から診断する
- 検査は診断に必須ではないが、その他の病気や合併症を否定するために必要になることがある
- 主な検査
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の治療法
- 安静と適切な水分補給が主な治療
- 発疹だけの場合は安静のみで改善することが多い
- 激しい運動は避けて、足はできるだけ挙げて生活する
- 自宅で安静が難しい場合には入院が必要になることもある
- 関節やお腹の痛みに対しては適宜、薬物治療を行う
- 軽症例では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やレクチゾールを使用する
- 症状が強い場合にはステロイド薬(内服もしくは点滴)を使用する
- 腸重積を合併している場合には早期に整復が必要
- 腎障害を起こしている場合もほとんどの場合は軽症で、特別な治療は必要ない
- 腎生検の結果が予後予測と治療方針決定に重要
- ステロイドや免疫を抑える薬(免疫抑制剤)を用いて治療する
- 血漿交換や腎移植が必要になることもある
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