クラミドフィラ肺炎の基礎知識
POINT クラミドフィラ肺炎とは
クラミドフィラ肺炎は、クラミドフィラ・ニューモニエという細菌の感染による肺炎です。主な症状は発熱・長引く激しい咳・のどの痛み・声がれなどです。 診断はクラミドフィラ・ニューモニエに対する抗体があるかどうかを調べる方法や、のどの粘液を採取してクラミドフィラ・ニューモニエの抗原をチェックする方法で行われます。軽症であれば治療が必要ないことも多いですが、症状が強い人では抗菌薬と咳止めなどを用いて治療します。クラミドフィラ肺炎が心配な人や治療したい人は、小児科・内科・呼吸器内科・感染症内科を受診して下さい。
クラミドフィラ肺炎について
クラミドフィラ肺炎の症状
- 主な症状
- 長引く激しい咳
- のどの痛み
- 鼻水
- 声がかれる
- 痰(肺炎がある場合)
- 感染しても症状が軽いことが多く、高熱は少ない
- 軽症の場合には、特別な治療なしで自然経過で治癒する
- まれに重症化すると呼吸困難を起こす
クラミドフィラ肺炎の検査・診断
- 画像検査:肺炎が起こっているか調べる
- 胸部レントゲン(X線写真)
- 胸部CT検査
- 血液検査:炎症の程度やクラミドフィラ・ニューモニエに対する抗体があるかどうかを調べる
- のどを綿棒でぬぐって取ったものの中に、クラミドフィラ・ニューモニエの抗原または遺伝子が含まれているかどうかを調べる
クラミドフィラ肺炎の治療法
- 主な治療法
- 抗菌薬
- マクロライド系抗菌薬
- ニューキノロン系抗菌薬
- テトラサイクリン系抗菌薬
- 対症療法
- 咳止め薬
- 酸素吸入 など
- 抗菌薬
- 長期的な経過
- 基本的には抗菌薬で治療可能
- 重症化するとARDSが起こる
クラミドフィラ肺炎に関連する治療薬
マクロライド系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
- マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
- 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある
ニューキノロン系抗菌薬
- 細菌の増殖に必要な酵素を阻害して殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の増殖にはタンパク質合成が必要でそれには遺伝情報をもつDNAという物質が不可欠となる
- DNAの複製にはいくつかの酵素の働きが必要となる
- 本剤はDNA複製に必要な酵素を阻害し抗菌作用をあらわす
- 尿路感染症、腸管感染症、呼吸器感染症など幅広い感染症で有効とされる(薬剤によって抗菌作用の範囲は異なる)
クラミドフィラ肺炎の経過と病院探しのポイント
クラミドフィラ肺炎が心配な方
クラミドフィラ肺炎では、長引く咳が特徴です。熱や息苦しさといったいわゆる肺炎の症状も見られますが、相対的に軽症が多く、風邪だと思っているうちに治ってしまっているというケースもあるでしょう。人から人へと感染が広がることもありますが、潜伏期間が3-4週間と長いため急激な大流行とはなりにくい疾患です。
周囲にクラミドフィラ肺炎の方がいたり、上記のような症状があったりするなどで心当たりがある場合には、まず内科を受診することをお勧めします。かかりつけのクリニックでいつも診てくれている医師がいるのであればそちらを受診するのが良いでしょう。症状だけからは風邪なのか肺炎なのか他の病気なのかを判断することは困難です。胸の聴診やレントゲンを用いて肺炎の診断を行った上で、もし肺炎であったとしたら、通院で治療するか入院が必要かを判断することとなります。普段からかかっている病院がない場合には、近所の内科、または呼吸器内科のクリニックが良いでしょう。肺炎と診断がついたとしても、クラミドフィラが原因と診断が確定するのはその更に後となります。
クラミドフィラ肺炎でお困りの方
クラミドフィラ肺炎の治療は抗生物質(抗菌薬)の服用になります。入院せず通院で治療できる場合には飲み薬での治療となります。抗菌薬はマクロライド系、テトラサイクリン系、キノロン系のいずれかが使われますが、抗菌薬に耐性を持った菌がいるため、最初のものが効かなかった場合には抗菌薬を変更する必要があります。処方された薬を使用しても改善が見られない場合には、別の病院を受診するのではなく、出来る限り最初と同じ医療機関を再診するようにしてください。「この薬の効果がなければ次はこう考える」という二の手、三の手がある中で効く可能性の高いものから順に治療が行われるためと、最初の時点からの呼吸音の変化が経過を追う上で重要なためです。
クラミドフィラ肺炎については診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気かもしれません。重症化した場合には入院が必要となりますが、多くの場合は抗菌薬を仮に使わなかったとしても自然の経過で治る病気です。ただし、周囲へ感染を拡大させない意味でも診断がついていたら、抗菌薬は内服することをお勧めします。
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