◆クローン病患者の遺伝子全体を解析
研究班は、若い年齢で発症したクローン病の患者に対して、遺伝子の全体にわたる解析を行いました。
◆意外にもXIAP遺伝子が変異していた
遺伝子の解析から、次の結果が得られました。
結果は、小児期発症クローン病の男性患者のうちおよそ4%に起こる、XIAP遺伝子の頻繁な突然変異の発生を示した。
男性の対象者に、およそ4%という高い頻度で、XIAP遺伝子の変異が見つかりました。
XIAP遺伝子は、2型X連鎖リンパ球増殖性症候群(XLP2)という、ほぼ男性だけにまれに起こる、生まれつき免疫のしくみが正常に働かない病気(原発性免疫不全症)の一種と関係しています。対象者のうちにXLP2の患者はいませんでしたが、XIAP遺伝子にはさまざまな種類の変異が見つかりました。
研究班は「この研究は男性の小児期発症クローン病でXIAP遺伝子の変異が頻繁に起こっていたという予期せぬ事実を示している」とまとめたうえ、「原発性免疫不全症を炎症性腸疾患の患者の一部ととらえる考え」を唱えています。
クローン病と原発性免疫不全症はどちらも難病ですが、この説によって今後の研究に新しい観点が生まれるかもしれません。もしこれらの病気に共通するしくみが明らかになれば、ふたつの難病に同時に対処する治療が生まれることも想像できます。さらに解明が進むかどうか、今後に期待がかかります。
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。