ハチ刺されで怖いアナフィラキシー、要注意の症状とは? | MEDLEYニュース
2022.11.08 | コラム

ハチ刺されで怖いアナフィラキシー、要注意の症状とは?

一度おさまったと思っても再び症状があらわれることもあります
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蜂に刺されたことはありますか。夏に農作業や庭の手入れをする人にとっては身近な存在の蜂。都心に暮らす人でも、街で一匹や二匹は見かけたことがあるはずです。

蜂刺され自体には怖いイメージを持っていても、もし刺されてしまったらどんな処置をすればよいのか、病院は受診するべきなのか、知らない人も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、そんな疑問を解消していきます。

 

応急処置:傷口を洗い流す

もし蜂に刺されてしまったら、蜂の毒をできるだけ外に出す必要があります。体内に入る毒素を最小限にして影響を残りにくくするというわけです。とてもシンプルな話になりますが、まずは流水で傷口をよく流してください。傷口に針が残っているのが見える場合は、直接手で触らずに、テープや毛抜きなどを使ってそっと抜きましょう。

 

アナフィラキシー症状が出たら必ず病院受診を

蜂に刺されたところは腫れて痛くなったり、かゆくなったりします。そういった狭い範囲の症状のみでおさまればよいのですが、蜂の毒に対するアレルギー反応が起きてしまうと、アナフィラキシーという重篤な状態になることがあります。

アナフィラキシーでは次のような症状があらわれます。

 

アナフィラキシーの主な症状】

  • 皮膚の症状
  • 顔の症状
    • 唇が腫れる
    • 目が腫れる、かゆい、充血する
    • 口の中がかゆい
    • 喉が痛い
    • 顔全体が腫れる
  • お腹の症状
    • 腹痛
    • 下痢
    • 吐き気、嘔吐
  • 呼吸の症状
    • せき、鼻水、鼻づまり、くしゃみ
    • 息苦しい
    • 呼吸がゼーゼー、ヒューヒューする
  • 全身の症状
    • 脈が早くなる
    • 顔色が悪い、青白い
    • ぐったりする
    • 意識が朦朧とする

 

アレルギーというと、蕁麻疹や息苦しさなどの症状を思い浮かべるかもしれませんが、腹痛、吐き気、下痢といった消化器系の症状が出ることもあります。蜂刺されと関係ないとは思わず、刺された後は体調の変化に注意してください。そして、上記にあるような症状があらわれたときには、必ず救急車を呼ぶなどして早急に病院を受診するようにしてください。

アナフィラキシーになると、最悪の場合、血圧が下がる、意識を失うなど、命に関わる状態に陥ります。病院では、アドレナリン、抗ヒスタミン薬、ステロイドなどの薬を点滴することで、症状をおさえ、次の章で説明する「二相性反応」の予防をします。

蜂刺されでは皮膚の変化が広範囲及ぶ場合、腹痛や下痢が襲ってくる場合、息苦しい場合、意識が朦朧とする場合は病院を受診するサインです。いちいちすべての症状を覚えておく必要はありませんので、蜂に刺された後に身体がしんどく感じたら我慢をせずに受診したほうが良いと考えていいです。

 

アレルギーがない人でもアナフィラキシーには要注意

食物アレルギーのある人が食べ物でアナフィラキシーになって病院に運ばれた、という話を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、特にアレルギーのない人でも、蜂刺されアナフィラキシーが起こることがあります。自分はアレルギー体質ではないから大丈夫と高をくくらずに、症状の強さを判断材料に受診するかどうかを決めるようにしてください。

 

油断禁物の二相性反応:24時間は病院で経過観察を

アナフィラキシー症状が改善したあと、時間をあけて再度アナフィラキシー症状が出ることがあります。これを「二相性反応」といいます。そのため、一度アナフィラキシーを起こした人は、症状がなくなっても24時間は病院で様子をみるほうがよいとされています。アナフィラキシーに対する処置が効いて元気になっても1泊の入院を勧められることが多いのはそういうわけです。

蜂に刺されたあとにアナフィラキシーの症状が出た場合は、もし自然に改善したとしても、二相性反応は起こりうるので、一度病院で診てもらってしてください。蜂に刺されたあとに唇の腫れと下痢の症状があった人が、病院に着くまでに症状は自然とよくなったものの、数時間後に全身の蕁麻疹と呼吸困難になった、というケースに出会ったことがあります。このように、一見症状が軽いようでも油断できないのがアナフィラキシーの怖いところです。

 

蜂刺されのリスクが高い人にはアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を

蜂刺されによるアナフィラキシーは、2回目以降に同じ種類の蜂に刺されたときに起こりやすいと言われています。一度蜂に刺されて毒が体内に入ると、毒に対する抗体が作られて、2回目以降に刺されたときにアレルギー反応を起こしてしまうからです。

つまり、蜂に刺されやすい環境にいる人(農作業や庭仕事をする、住んでいる地域に蜂が多い、など)は、アナフィラキシーになるリスクが高いといえます。一度アナフィラキシー症状が出た人は、蜂の種類ごと(例:スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ)に対する抗体量を調べて蜂アレルギーがあることが確認したうえで、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けることができます。

 

蜂アレルギーとわかっている人はエピペン®注射をためらわない

アドレナリンの注射はアナフィラキシーに対して最も有効と考えられています。映画やドラマの中でアドレナリンを筋肉注射している姿を見たことがある人もいるかもしれません。

そして、もし蜂アレルギーの人が蜂に刺されてアナフィラキシー症状が出現したときは、ためらわずにすぐにアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を注射してください。病院に着くまでの間に症状を緩和し、悪化を防ぐことができます。そこまで症状が強くないから打ったほうが良いのかわからないという人は注射してしまったほうが安全です。

エピペン®を注射した後は、症状が良くなっても必ず受診してください。状態を診てもらうとともに、新しいエピペン®を処方してもらうのもお忘れなく。

 

軽い症状だと思っても心配なときは受診を

ここまでアナフィラキシーについて説明してきました。アナフィラキシーはもちろんですが、蜂に刺された場所が腫れる、痛む、かゆいといった狭い範囲の症状だけで​​あったとしても、受診するメリットはあります。

自分では蜂刺されと無関係だと思っていた症状が、実はアナフィラキシーによる症状だとわかることもあります。

加えて、もし蜂に刺されやすい環境にいるならば、今後の対応についてもお医者さんと相談することもできます。

蜂に刺されて少しでも不安があるならばぜひ病院受診を検討してください。

 

参考文献

日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。