消費税の増税にともない医療費の一部が引き上げ | MEDLEYニュース
2019.10.08 | コラム

消費税の増税にともない医療費の一部が引き上げ

消費税の仕組みと診療報酬との関係
消費税の増税にともない医療費の一部が引き上げの写真
(c)Basico-stock.adobe.com

2019年10月1日に消費税が8%から10%に引き上げられました。早くも増税の負担を実感している人がいるかもしれません。公的医療保険でカバーされている医療費(診療報酬)に消費税がかかることはありませんが、今回の増税にともない診療報酬の一部も引き上げられました。
今回のコラムではその理由について説明します。

消費税のおおまかな仕組みについて

消費税の増税と診療報酬引き上げの関係について説明する前に、「消費税」についてざっくりと補足しておきます。 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税されるものです。商品・製品の販売やサービスの提供時だけに消費税が発生するわけではなく、生産・流通などの段階でも課税されます。しかし、最終的には消費者が負担するような仕組みになっており、事業者が消費税を負担することはありません。 なんだかわかりにくいことを言っているので、洋服の製造から消費を具体例にして消費税の仕組みを簡単に説明します。

 

【一般的な取引に課税される消費税の流れ】

  1. 洋服店が生地の販売店から、1000円で材料を購入すると、100円の消費税が発生します。この100円は洋服店が一時的に負担します。
  2. 消費者が洋服を1500円で買うと、150円の消費税が発生し、消費者が負担します。
  3. 洋服店は消費者から得た150円の消費税から、生地を購入した際に生じた消費税100円を引いて、差額50円を消費税として国に納めます。

 

一般的な取引に課税される消費税の流れ

事業者(ここでは洋服店)が仕入れなどを行う際にも消費税が発生します。しかし、「事業者が払った消費税」は商品の代金や、サービス料に上乗せされるので、実質的に事業者が消費税を負担することはないようになっています。

 

非課税である医療費に値上げが起こるのはなぜか

次に、洋服店を医療機関に置き換えてみます。医療機関は、医療機器や薬をメーカーや問屋から購入し、患者さんに医療というサービスを提供しています(ここでいう医療は保険診療を指しています)。洋服店が生地を仕入れた時と同様に、医療機関が医療機器や薬を購入する際には消費税を払う必要があります。

洋服店であれば、洋服を売った際に消費者から得られる消費税によって、仕入れにかかった消費税の負担をなくすことができます。しかし、医療費には消費税がかからず、また値段は厚生労働省が一律で定めていて医療機関側で変更することはできないため、仕入れ時の消費税の負担をなくすことができません。この消費税による医療機関の負担を抑えるために、消費税の導入時(平成元年)や、引き上げ時(平成9年、平成26年)には、診療報酬の引き上げが行われてきました。

 

※なお、ここまでの話は公的医療保険でカバーされる医療費の話であり、患者さんが費用の全額を負担する自由診療(健康診断、インフルエンザのワクチン接種など)にはもともと消費税がかかっています。ですので、今回の2%の増税分はそのまま値段に反映されます。

 

実際にどの程度負担が増えるのか

今回の消費税の増税でも、次のように診療報酬の一部が引き上げられました。以下の表は医療費の自己負担額が3割の人の例です。

 

【外来】

  変更前 変更後
初診料 850円 860円
歯科初診料 710円 750円
調剤基本料 120円 130円
再診料 720円 730円

 

【入院】

  変更前 変更後
急性期一般入院料 4770円 4950円
地域一般入院料 3380円 3480円

 

引き上げの根拠になった計算式は複雑なので、ここでは割愛しますが、確認したい人は「厚生労働省の発表」を参考にしてください。また、その他の診療報酬の変更は「全国保険医団体連合会」のウェブサイトでまとめられているので確認してみてください。

医療費や税金は生きていくうえで切り離せないものですが、知識が十分にある人は多くはないかもしれません。今までなんとなく受診料を払っていた人も、このコラムを医療費や税金について考えるきっかけにしてみてはどうでしょう。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。