2018.08.06 | ニュース

白血病の薬ほか、効能など追加の6製品はどんな薬?

添付文書に記載の臨床試験を中心に

白血病の薬ほか、効能など追加の6製品はどんな薬?の写真

7月2日、厚生労働省が既存の医療用医薬品に対して、効能・効果や用法・用量の追加などを承認しました。対象となったイムブルビカ、トレアキシン、タフィンラー、メキニスト、フェントス、ジアグノグリーンの新しい効能・効果などを紹介します。

イムブルビカとは?

イブルチニブ(商品名イムブルビカ®)は、がん治療薬です。以前は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とし、先にほかの薬を使ったあとの人が使う薬とされていましたが、新しく効能・効果が「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」に変更され、最初に使う薬としても検討できるようになりました

変更にあたって、未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の患者を対象とした臨床試験の結果が根拠とされました。

この臨床試験では、イブルチニブとクロラムブシル(日本では未承認)を比較した結果、イブルチニブを使った人のほうが、がんの進行がないまま生存した期間が長くなりました。

この試験では対象者となる条件(フルダラビンを含む化学療法が適していないと判断され、かつ腫瘍細胞に17番染色体短腕の欠失がないこと)が決められていましたが、この条件に当てはまらない人についてはデータがないものの効能・効果に含めることが適切と判断されました。

この試験でイブルチニブを使った人のうち84.4%に何らかの副作用が現れました。主な副作用は下痢、吐き気、好中球減少症、発疹などでした。

なおイブルチニブには「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」の効能・効果もあり、こちらは変更されていません。

 

トレアキシンとは?

ベンダムスチン(商品名トレアキシン®)は、がん治療薬です。以前から「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」の効能・効果があり、リツキシマブと併用する場合の用法・用量が決められていましたが、リツキシマブの代わりに似た作用の薬も併用できるよう、併用についての記載が「抗CD20抗体併用の場合」に変更されました。リツキシマブは抗CD20抗体の一種です。低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療薬として使用可能な抗CD20抗体は、リツキシマブのほかにもオビヌツズマブ(商品名ガザイバ®)があります。ただし、オビヌツズマブの効能・効果はその一部(CD20陽性の濾胞性リンパ腫)に限られています。

オビヌツズマブは同日の7月2日に新薬として承認されました。オビヌツズマブの有効性と安全性を検証した臨床試験では、オビヌツズマブとベンダムスチンの併用(またはほかの化学療法との併用)が、リツキシマブと化学療法の併用に勝る結果を示しました

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オビヌツズマブの承認とあわせてベンダムスチンの用法・用量が変更されたことにより、臨床試験で試された併用療法が使用可能となりました。

 

タフィンラー・メキニストとは?

ダブラフェニブ(商品名タフィンラー®)とトラメチニブ(商品名メキニスト®)は、がん治療薬です。この2剤を併用する治療法は、以前から「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に対する効能・効果が認められていましたが、新たに術後補助療法としての用法・用量が追加されるとともに、効能・効果が「BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫」に変更されました

臨床試験では、BRAF遺伝子変異のある悪性黒色腫の手術後で再発のリスクが高いと予想された人を対象に、ダブラフェニブ・トラメチニブの併用と偽薬を比較したところ、悪性黒色腫の再発なく生存した期間は、ダブラフェニブ・トラメチニブの併用を使った人のほうが長くなっていました

この試験でダブラフェニブとトラメチニブを使った人のうち91.5%に何らかの副作用が現れました。主な副作用は、発熱、疲労、寒気などでした。

 

フェントスとは?

フェンタニルクエン酸塩は、オピオイド受容体作動薬に分類され、痛みを和らげる強力な作用を持つ薬です。フェントス®テープはフェンタニルクエン酸塩を有効成分としたテープ型の製剤です。貼って使います。

フェントス®テープには従来、有効成分の含量が違う1mg、2mg、4mg、6mg、8mgの規格がありました。新しく0.5mgの規格が承認され、用量を0.5mg刻みで調整できるようになりました

臨床試験では、前に使っていたオピオイド鎮痛剤からフェントス®テープ0.5mgに切り替えて痛みの変化を調べたところ、目標とした基準を満たす程度の鎮痛効果が維持されました。

主な副作用は傾眠、吐き気などでした。

 

ジアグノグリーンとは?

ジアグノグリーン®は、色素のインドシアニングリーンを注射剤としたものです。血管に注射することで、流れていった場所の組織に色をつけ、診断に役立てることができます。

従来の効能・効果に加えて、新しく「血管及び組織の血流評価」が承認されました。海外のガイドラインなどでインドシアニングリーンを血管及び組織の血流評価に使うことは有用とされていることから、公知申請されました。

一般的に副作用は少なく、添付文書で参照されているデータのうちでは使用した人の0.17%に副作用が現れ、その中には吐き気・嘔吐、血管痛などがありました。

 

まとめ

薬に新しい効能・効果などが加わることにより、保険診療として使える新しい選択肢となります。臨床試験から報告されているデータを参考に、従来の治療法と比べて有効性や副作用を考えることで、一人ひとりに合わせた治療の可能性を広げることができます。

執筆者

MEDLEY編集部

参考文献

イムブルビカカプセル140mg 添付文書・審査報告書、トレアキシン点滴静注用25mg/トレアキシン点滴静注用100mg 添付文書、タフィンラーカプセル50mg/タフィンラーカプセル75mg 添付文書・審査報告書、メキニスト錠0.5mg/メキニスト錠2mg 添付文書、フェントステープ0.5mg/フェントステープ1mg/フェントステープ2mg/フェントステープ4mg/フェントステープ6mg/フェントステープ8mg 添付文書、ジアグノグリーン注射用25mg 添付文書・審査報告書

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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