2018.01.17 | ニュース

飲み水からレジオネラに感染、2013-14年アメリカで13人死亡

42件のアウトブレイクの調査から
from MMWR. Morbidity and mortality weekly report
飲み水からレジオネラに感染、2013-14年アメリカで13人死亡の写真
(c) taa22 - Fotolia.com

飲み水が病原体や化学物質で汚染された事例は最近も報告されています。アメリカの統計で、2013年から2014年のうちに13人が飲み水によるアウトブレイクで死亡したことなどが報告されました。

アメリカ2013年から2014年のアウトブレイク

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の研究班が、2013年から2014年に始まった飲み水に関連する病気のアウトブレイク(集団発生)を集計し、広報誌『Morbidity and Mortality Weekly Report』で報告しました。

この統計では、飲み水の中の細菌や化学物質などにより2013年から2014年に始まったアウトブレイクが42件あり、それによって少なくとも1,006人が病気を発症し、うち124人が入院となり、13人が死亡していました。死亡した人の全員に細菌のレジオネラが関連していました。

42件のアウトブレイクのうち、地下水(井戸など)によるものが14件、地表水(川・湖など)によるものが14件ありました。

研究班はアウトブレイク事例の検討から、水道システムの汚染によって水の供給が止まり、病気が引き起こされ、飲み水の品質に対して地域社会に疑いの感覚が残る可能性を指摘しています。

研究班は対策についても考察しています。たとえば建物の衛生管理に携わる人に向けてCDCが提供している、レジオネラ増殖・拡散のリスクが高い建物で水を管理するプログラム作成の手引きを挙げています。

 

アメリカの飲み水の安全のために

飲み水に関連した病気について、最近のアメリカの統計を紹介しました。

レジオネラの感染は温泉などで集団発生した例が有名ですが、ここでは少数ながら飲み水による例が挙げられています。

レジオネラ以外の原因も含めて、飲み水によるアウトブレイクで病気になった人はアメリカ全土でも2年間に1,000人ほどと少数でしたが、汚染によって水の供給が止まるなど、地域での生活に影響が出ることも考えられます。安全な飲み水を提供する策を立てるため、こうした報告が判断材料を提供できるかもしれません。

また、個人が身を守るためにも、過去の事例を理解しておくことは役に立ちます。もし仕事や旅行で居住・滞在している地域にアウトブレイクが起こった時には、原因や対策について情報を得て対応することも大切です。背景となる知識を持っておくことが、とっさの判断をより素早く正確にする助けになります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Surveillance for Waterborne Disease Outbreaks Associated with Drinking Water - United States, 2013-2014.

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2017 Nov 10.

[PMID: 29121003]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。