2016.08.27 | ニュース

見える!6か月の失明から奇蹟の回復、慶応から

視神経を圧迫している髄膜腫を切除した症例報告
from Surgical neurology international
見える!6か月の失明から奇蹟の回復、慶応からの写真
(C) lenets_tan - Fotolia.com

失明の原因のひとつが脳腫瘍です。視神経が圧迫されて長期間失明が続くと回復は不可能と思われていましたが、慶応大学病院のチームが、手術で腫瘍を取り除いて視力が回復した人の例を報告しました。

◆脳腫瘍で視神経が圧迫されて左目を失明

ここで紹介する論文では、6か月にわたって失明状態にあった65歳の女性の例が報告されています。

この女性は、検査で偶然、脳の髄膜腫(ずいまくしゅ)を指摘されました。髄膜腫は視神経の通り道に近い場所にありました。

髄膜腫の多くは良性です。普通は周りの組織に浸潤したり転移することはありません。しかし、周りを圧迫して症状を起こすことがあります。治療法は手術です。脳の手術にはリスクもあるので、症状がなければ様子を見ることもあります。

この女性では、髄膜腫が見つかって2年後から、しだいに左目の視力障害が現れました。さらに半年後には左目がまったく見えなくなりました。

 

◆手術で視力が回復

見えなくなって6か月の時点で慶応大学病院に紹介され、MRIで調べたところ、髄膜腫は左の視神経の通り道(視神経管)に入り込んでいました。

髄膜腫がさらに大きくなって右目にも影響することを防ぐ狙いで、手術が行われました。手術で髄膜腫の95%が取り除かれました。

手術の2日後から、左目が見え始めました。眼科医による診察では、左目の前に出された指の数を数えることができました。

手術から14日後にはさらに回復して退院となりました。

報告は「通常、脳腫瘍が視神経を圧迫して起こった長期間の失明は回復不可能と考えられ、ある場合には視神経の外科的切除さえ行われている。しかし、我々は視神経管の圧迫解除ののち長期間の失明から回復した患者の症例を経験したので、この外科手技が確かに治療選択肢として考えられるべきだと信じる」と結論されています。

 

この報告は「きわめてまれな症例の報告」と題されています。同じように回復を期待できる人はめったにいないかもしれませんが、積極的な治療が実を結んだ例と言えるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Improvement of long-term blindness caused by compression from inner-third sphenoid wing meningioma after optic canal decompression: An extremely rare case report.

Surg Neurol Int. 2016 Jun 23.

[PMID: 27413579]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。