2015.10.22 | ニュース

脳腫瘍のひとつ、髄膜腫の頻度は体型と運動量に関係する?

メタアナリシスで検証
from Neurology
脳腫瘍のひとつ、髄膜腫の頻度は体型と運動量に関係する?の写真
(C) Sebastian Kaulitzki - Fotolia.com

髄膜腫は脳や脊髄を包む髄膜にできる腫瘍で、脳にできる腫瘍の中では最も頻度が多いものです。髄膜腫の頻度と体型、また身体運動の関係を調べる研究が行われました。

◆髄膜腫の過去の研究を収集

髄膜腫のほとんどは、周りに広がっていったりほかの臓器に転移することのない良性腫瘍です。治療しなくても症状がない場合も多いですが、周りの神経を圧迫して手足の麻痺などさまざまな症状を起こす場合があります。

この研究は、髄膜腫についての過去の研究を検索し、体型または身体活動と髄膜腫の頻度の関係を調べたものを集め、データを統合してその関係を検証しました。

脳の代表的な悪性腫瘍である神経膠腫グリオーマ)についても同様にデータを集めました。

 

◆太っている人ほど髄膜腫が多く、運動で減少

次の結果が得られました。

BMIについての12件の適格な研究と、身体活動についての6件の研究が同定され、2,982人の髄膜腫の症例と3,057件の神経膠腫の症例が含まれた。正常体重を参照群としたとき、過体重(要約相対リスク1.21、95%信頼区間1.01-1.43)と肥満(要約相対リスク1.54、95%信頼区間1.32-1.79)は髄膜腫のリスク増加と関連した。

同様に、用量反応メタアナリシスから、BMIと髄膜腫に統計的に有意な正の関連が見られたが、神経膠腫については見られなかった。身体活動レベルが高い人と低い人では、髄膜腫に対して軽度の負の関係が見られ(要約相対リスク0.73、95%信頼区間0.61-0.88)、神経膠腫についても弱い負の関連が見られた(要約相対リスク0.86、95%信頼区間0.76-0.97)。

身長に対して体重が重い人ほど、髄膜腫が多い傾向が見られ、また身体活動の量が多い人では髄膜腫が少ないという結果でした。神経膠腫と体重の関係は見られませんでした。

 

体重が重いことでなぜ髄膜腫が多くなるのかはこの結果からはわからず、確実に因果関係があるとは言い切れませんが、適切な体重を維持することの良い面のひとつと考えることができるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Body mass index, physical activity, and risk of adult meningioma and glioma: A meta-analysis.

Neurology. 2015 Oct 13

[PMID: 26377253]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。