◆体重別でリコピンとメタボの関係を解析
この研究は、20歳以上の参加者13,196人を対象とした調査データを元に、血液中のリコピンの量とメタボリックシンドロームの関連について統計解析を行いました。
対象者のBMI(体重÷身長の2乗)によって、正常体重(BMIが25未満)、過体重(BMIが25以上30未満)、肥満(BMIが30以上)のグループに分け、それぞれで別に計算しました。
メタボリックシンドロームは、ウエスト、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値などから診断され、必ずしも体重が肥満の水準かどうかとは一致しません。
◆肥満だと関連なし
次の結果が得られました。
[...]リコピンとメタボリックシンドロームの関連は正常体重および過体重の参加者でのみ有意であり(P<0.05)、肥満の参加者では有意でなかった(P>0.05)。
正常体重または過体重のグループでは、リコピンが多い人のほうがメタボリックシンドロームが少ないという関連が見られましたが、肥満のグループでは関連が見られませんでした。
この研究は、血液中のリコピンの量を調べていますが、リコピンの摂取量は調べていません。そのため、リコピンを含む食品を食べることでメタボリックシンドローム防止の効果があるかを確かめるにはほかの情報も必要です。
また、リコピンとメタボリックシンドロームの関係には体重も影響するという結果でした。リコピンの効果を考えるうえで注意するべき点になるかもしれません。
執筆者
The influence of BMI on the association between serum lycopene and the metabolic syndrome.
Br J Nutr. 2016 Feb 9. [Epub ahead of print]
[PMID: 26857614]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。