糖尿病の薬「ダパグリフロジン」は血圧も下げる

糖尿病治療薬のうちある種のものは、血糖値を下げる以外にも効果があります。ダパグリフロジンの血糖値と血圧に対する効果が検討されました。
◆ダパグリフロジンはどれぐらい血圧を下げるのか
ダパグリフロジンを含む、SGLT2阻害薬という種類の薬は、
この研究は、ダパグリフロジンが血糖値と血圧を下げる効果の強さを調べています。
糖尿病の患者で、糖尿病と高血圧の薬を使用中にもかかわらず一定基準の高血圧があり、血糖値を反映する検査のHbA1cが7.0%から10.5%と状態が悪い人が対象になりました。
対象者は研究参加時に使っていた薬を続けたうえ、ダパグリフロジンを加える群と偽薬を加える群に分けられ、治療後の検査値を比較されました。
◆血圧4mmHg、HbA1cは0.6%減
次の結果が得られました。
座位
収縮期血圧 は、偽薬群(-7.62mmHg、95%信頼区間-9.72から-5.51)に比べてダパグリフロジン群で有意 に減少した(-11.90mmHg、-13.97から-9.82。偽薬で調整したダパグリフロジンの差-4.28mmHg、-6.54から-2.02、P=0.0002)。HbA1c濃度の減少もまた、偽薬群(ベースラインからの調整平均変化量-0.02%、-0.15から-0.12)に比べてダパグリフロジン群で有意に大きかった(-0.63%、-0.76から-0.50、偽薬で調整した差-0.61%、-0.76から-0.46、P<0.0001)。
ダパグリフロジンを使った群のほうが、血圧とHbA1cがより大きく下がり、その差は収縮期血圧(最高血圧)が4.28mmHg、HbA1cは0.61%でした。
副作用の可能性があることとして、次のことが見られました。
有害事象はダパグリフロジン群と偽薬群で類似し(少なくとも1件の有害事象を経験した患者が98人[44%]対93人[42%])、
腎機能 (1% vs <1%)または循環体液量減少(<1% vs 0%)に関連する有害事象はまれだった。
ダパグリフロジンを使った群で全体として有害な
研究班は「ダパグリフロジンが血圧を下げる作用は、すでにβ遮断薬またはカルシウム拮抗薬を使っている患者では特に有益であった」とまとめています。
執筆者
Blood pressure and glycaemic effects of dapagliflozin versus placebo in patients with type 2 diabetes on combination antihypertensive therapy: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 study.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Nov 27. [Epub ahead of print]
[PMID: 26620248]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。