2016.03.23 | コラム

フィナステリド、ミノキシジルなどのAGAに対する治療薬の効果とは?

男性型脱毛症の治療薬について
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この記事のポイント

フィナステリド(プロペシア)やミノキシジル(リアップ)などのAGAの治療薬はどのような効果や特徴があるのでしょうか?詳しく解説します。

フィナステリド(プロペシア®)やミノキシジル(リアップ)は抜け毛の原因となるAGA男性型脱毛症)の治療薬として使用されることがあります。まずはAGAの説明をして、その後治療薬の解説に入っていくことにしましょう。

 

1. 男性型脱毛症(AGA)とは?

男性型脱毛症AGA)は、症候性脱毛症(何らかの他の病気の背景があって、二次的影響によりおこる脱毛)とは異なり、ホルモンバランスや遺伝などによって薄毛や抜け毛の症状をあらわす病気です。

早い場合は思春期以降からとされますが、20代からも発症し、徐々に進行していきます。通常であれば毛髪は数年かけてしっかり太く成長するのですが、AGAではその成長期が短くなり毛が細く短くなってしまい抜け毛が増えていきます。遺伝が関与するとされていますが、現象としては男性ホルモンであるテストステロンが関与するとされていて、前頭部(おでこの生え際)や頭頂部の毛髪が影響を受けやすいため、脱毛タイプとして前頭部型や頭頂部型が多くなります。AGAは男性だけでなく女性にもおこる場合があり、女性の場合には主に髪全体の毛髪密度の減少があらわれます。

AGAの主な治療薬としては、医療機関の受診(自由診療)を経て使用する内服薬であるフィナステリド(主な商品名:プロペシア®)、OTC医薬品(市販薬)で外用薬として発売されているミノキシジル(商品名:リアップ)などになります。

 

2.  フィナステリド(主な商品名:プロペシア®)について

男性型脱毛症AGA)の治療薬で、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成を阻害することで発毛効果をあらわします。

男性ホルモンの中でも強い作用をあらわすジヒドロテストステロンはテストステロンから酵素(5α-還元酵素)の働きによって変換されます。フィナステリドはこの酵素の働きを阻害することでジヒドロテストステロンの生成を抑え発毛効果をあらわす薬剤となります。

フィナステリドは元々は前立腺肥大症などの治療薬として海外で承認を受けた薬(但しこの場合、用量はフィナステリドとして5mg/日)であり、その後の研究により1日の用量を1mgにしてAGA治療薬として承認を受けた薬になります。日本では2005年11月に承認をうけ、まずプロペシア®の名称で「0.2mg錠」と「1mg錠」の規格が発売され、臨床で使われています。(保険適応外の治療薬となり、自由診療となります)

この薬は男性ホルモンの働きを抑えるため、精力の減退、勃起機能不全、射精障害など生殖機能への障害があらわれる場合があります。また男性ホルモンの作用を抑えることは体内の女性ホルモンとのバランスに乱れが生じることにつながり、乳房の痛みや男性における乳房肥大などがあらわれる可能性もあります。プロペシア®としてのフィナステリドの服用量は前立腺肥大の治療におけるフィナステリドの服用量に比べると低用量のため、これらの症状があらわれることは稀とされますが注意は必要です。

 

3.  ミノキシジル(リアップ)について

ミノキシジルを主成分とした外用塗布剤として大正製薬株式会社から発売されているのが「リアップ」シリーズです。

AGAの中の主に壮年性脱毛症への効果が期待できる薬剤です。AGAでは成長期の毛髪の割合の減少により細い毛が増え抜け毛が増えますが、ミノキシジルは毛包に作用し、小さくなっている毛包を大きく深く成長させることにより、細く軟毛となった毛を太い毛に成長させます。またミノキシジルは休んでいる状態の毛包に作用することでこれを活性化させ、新しい毛の発毛促進作用などをあらわします。(毛包は、表皮が内側に筒状に入り込んだ部分で、底の部分には毛髪の元になる毛母細胞が集まっています)

現在(2016年2月)、リアップには男性用製剤と女性用製剤があります。

 

男性用製剤

男性用製剤の中でよく使われてきたのが「リアップX5(エックスファイブ)」というものです。主成分であるミノキシジルを従来製剤(「リアップ」「リアッププラス」はミノキシジルを1%含む製剤)の5倍量含む5%製剤となっていて、これにより高い発毛効果が期待できます。現在「リアップX5」は製造終了となっていて、代わりに「リアップX5」にピリドキシン塩酸塩トコフェロール酢酸エステルl-メントールを加えたリアップX5プラスローション」が発売されています。今後はこちらの製剤が主流となってくる可能性があります。

そこで「リアップX5プラスローション」に配合されているミノキシジル以外のプラス成分に関して少し詳しくみていきましょう。

ピリドキシン塩酸塩ですが、これはビタミンB6の一つの成分です。ビタミンB6はタンパク質がエネルギーとして使用される過程で働く補酵素としての役割や神経伝達物質の合成などに関わっているビタミンです。ビタミンB6が不足すると皮膚、粘膜、神経の炎症などがおこりやすくなります。リアップにこのビタミンB6が「プラス」されることで、過剰な皮脂の分泌が抑えられるなど頭皮の皮膚環境の改善効果などが期待できます。

トコフェロール酢酸エステルはビタミンEの成分です。ビタミンEは細胞の老化などに関与する活性酸素の働きを抑える作用や末梢血管の拡張に関わることで血行不良などを改善するビタミンです。リアップにこのビタミンEが「プラス」されることで、皮脂の酸化を防いだり頭皮の血行の改善などの効果が期待できます。

l-メントールはその名前でわかる通り、ハッカ(ハッカ油)の主成分です。皮膚の外用薬に加えることで不快な芳香などを抑える作用があります。リアップにこのl-メントールが「プラス」されることで頭皮に清涼感を与え痒みなどを抑える効果が期待できます。

 

女性用製剤

女性の壮年性脱毛症では主に髪の毛が細くなり、本数が減り、発毛しなくなることで頭髪密度の減少がおこります。女性用のリアップで現在発売されているのが「リアップリジェンヌ」です。製剤中にミノキシジルを1%含み、パントテニールエチルエーテル、トコフェロール酢酸エステル、l-メントールが合わせて配合されています。

男性用のリアップに含まれていない成分でパントテニールエチルエーテルというものがあるのでこれを少し詳しくみていきましょう。

パントテニールエチルエーテルは体内でビタミンに変化するプロビタミンと呼ばれ、皮膚の保湿や皮膚細胞の活性化などに関わります。リアップに含まれることで髪の成長を助けたり保湿作用により頭皮環境の改善などが期待できます。

ちなみに「リアップ」シリーズの製剤は全て、OTC医薬品の中でも「第1類医薬品のリスク分類に属する」製剤です。第1類医薬品は販売店に足を運んで購入する場合には、情報提供場所において対面でかつ書面による情報提供や販売記録の作成に応じる必要がある医薬品となります。

 

4. その他の薬、カルプロニウム塩化物(フロジン®、カロヤンなど)について

医療用医薬品(処方薬)では主にフロジン®外用液5%、OTC医薬品(市販薬)では「カロヤン」シリーズ(販売:第一三共ヘルスケア)の主成分となっている薬剤です。但し、医薬部外品の「カロヤンシャンプー」などは除きます。

カルプロニウム塩化物は神経伝達物質のアセチルコリンの受容体への作用により効果をあらわします。アセチルコリンはアセチルコリン受容体に作用し血管拡張、心拍数低下、消化管機能の亢進、発汗などの作用をあらわします。カルプロニウム塩化物は血管平滑筋のアセチルコリン受容体を刺激することで、局所血管の拡張作用、毛細血管内の血流増加作用、局所の代謝促進作用などをあらわします。頭皮に塗ることで、頭皮や毛根への血流量を増加し毛根に必要な栄養や酸素を運びやすくすることで、発毛や養毛作用などが期待できます。

塗り薬など外用薬全般において使用部位の痒みなどには注意が必要です。カルプロニウム塩化物を含む外用薬の作用も塗布する頭皮などのほぼ局所に限定されます。しかしアセチルコリンと同じ様な作用をあらわすため、頻度は稀ですが刺激感、発汗(場合によっては全身性の発汗)、熱感などの症状があらわれる場合もあります。本剤を含む製剤を洗髪直後や湯あがり後などに使用すると、発汗などの副作用があらわやすくなる傾向にあるため、ほてりを冷ましてから使用するなどの注意が必要となります。

医療機関への受診を経て処方される フロジン®外用液5% は、その名の通りカルプロニウム塩化物を5%含む製剤で、脱毛防止や発毛促進の他、乾性脂漏や尋常性白斑でも使われる製剤です。

一方、OTC医薬品として市販されているカルプロニウム塩化物を含む製剤は主に発毛促進、脱毛予防を目的としていて、カルプロニウム塩化物に加えて数種類の有効成分が追加された製剤が発売されています。ここでは例としてOTC医薬品の「カロヤンプログレ」シリーズの製剤をいくつかみていきます。


カロヤンプログレEX D

カルプロニウム塩化物を2%(OTC最大量)含み、チクセツニンジンチンキ、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ヒノキチオール、パントテニールエチルエーテル、l-メントールを配合した製剤です。主成分であるカルプロニウム塩化物の濃度は処方薬のフロジン®外用液5%に比べると控えめですが、他の有効成分による追加効果が期待できます。

パントテニールエチルエーテルとl-メントールは先ほど「リアップ」の項目で紹介したため割愛し、その他の成分をみてみます。

チクセツニンジンは薬用人参の仲間であるトチバニンジンの生薬名で、毛根の毛乳頭細胞を活性化することで発毛促進効果が期待できます。

ジフェンヒドラミン塩酸塩は抗ヒスタミン薬の一つで「レスタミン®」などの製剤の主な成分にもなっています。アレルギーなどを引き起こす体内物質ヒスタミンの作用を阻害することで、アレルギー症状や痒みなどを抑える薬となります。

ヒノキチオールは名前からわかるように植物のヒノキの精油成分です。殺菌・抗菌作用、炎症を抑える消炎作用などが期待できます。

本剤はこれらの有効成分の作用によって発毛促進、脱毛予防、ふけやかゆみなどの改善などの効果が期待できる薬になっています。

ちなみに名称の最後にある「D」は「DRY(乾燥)」の頭文字をとったもので、しっとりとした使用感により、頭皮タイプの目安として頭皮がカサカサしている、髪がパサつく、肌が乾きやすいなどのタイプに向くとされています。


カロヤンプログレEX O

先ほどの「カロヤンプログレEXD」と同様にカルプロニウム塩化物を2%含む製剤で、これにチクセツニンジンチンキ、カシュウチンキ、ピリドキシン塩酸塩、ヒノキチオール、パントテニールエチルエーテル、l-メントールを配合した製剤です。

「カロヤンブログレEXD」と異なるのは、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン塩酸塩を含まず、カシュウチンキとピリドキシン塩酸塩という成分が含まれている点です。ピリドキシン塩酸塩はリアップの欄でも紹介しましたがビタミンB6であり、過剰な皮脂の分泌を抑えるなど頭皮環境の改善などが期待できます。

カシュウチンキは植物のツルドクダミからとった生薬成分で、強壮作用などがあり栄養ドリンク剤などにも含まれている場合があります。また、頭髪に対しては脱毛予防や若白髪に対する効果などが期待できるとされています。

こちらの名称の最後にある「O」は「OILY(油)」の頭文字をとったもので、サラッとした使用感により、頭皮タイプの目安として頭皮がベタベタしている、髪が油っぽいなどのタイプに向くとされています。

 

今回紹介した製剤の他にも、OTC医薬品や医薬部外品などの中には脱毛・発毛に対しての商品が数多く存在します。(男性型脱毛症診療ガイドライン〔日本皮膚科学会〕においては外用薬の中ではミノキシジルの使用を推奨しています) また、薬剤の効果以外にも頭皮や毛髪に与える影響は良くも悪くも非常に多様です。最近抜け毛が増えた、髪の毛が細くなった、などの症状があらわれた場合は医療機関への受診も含めて個々に合ったケアを考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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