◆カロテノイドとビタミンCは乳がんと関係するか
この研究では、ヨーロッパで行われた追跡調査のデータが使われました。50万人以上の対象者を15年近くにわたって追跡したデータのうちで、調査中に新しく乳がんと診断された女性1,502人と、乳がんのない1,502人が解析の対象になりました。
血液検査で測定された、カロテノイドとビタミンCの量によって、その後乳がんが発生する頻度に違いがあるかが検討されました。
カロテノイドは体内で代謝されてビタミンAなどになる物質で、野菜などの食べ物にも多く含まれています。ここではカロテノイドに分類される物質のうちα-カロテン、β-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、レチノール(ビタミンA)、α-トコフェロール、γ-トコフェロールについて調べました。
◆α-カロテン、β-カロテンに関連
解析から次の結果が得られました。
五分位群の第5では第1と比較して、α-カロテン(オッズ比0.61、95%信頼区間0.39-0.98)、β-カロテン(オッズ比0.41、95%信頼区間0.26-0.65)にER-の乳房腫瘍のリスクと負の関連があった。
血液中にα-カロテンが多かった人、β-カロテンが多かった人で、乳がんのうち「ER陰性」というタイプのものが少なくなっていました。
この結果は、乳がんの予防法の研究につながっていくかもしれません。
なお、カロテノイドはほかの栄養素と同じように、多く摂るほど体に良いというものではありません。特に妊娠中にビタミンAを大量に摂取すると子どもの先天異常が多くなるとされ、妊娠の可能性がある女性をはじめ、そうでない人も適切な摂取量に注意が必要です。
執筆者
Plasma carotenoids, vitamin C, tocopherols, and retinol and the risk of breast cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition cohort..
Am J Clin Nutr. 2016 Feb.
[PMID: 26791185]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。