◆妊娠中のウイルスと病気の関係
パルボウイルスB19は、妊娠中に感染すると流産や胎児水腫の原因になることでも知られています。さらに、赤血球を正常に作れなくする働きもあります。
研究班は、妊娠中の女性147人を対象に、パルボウイルスB19の感染を反映する抗体検査と、その他の検査を行い、ウイルスによる影響を調べました。
◆感染した人でヘモグロビンが少ない?
次の結果が得られました。
ヘモグロビン値はB19VのIgG抗体が陽性だった患者で、陰性だった患者に比べて有意に低かった(99.0±10.0g/l vs 104.0±10.0g/l; P=0.008)。
パルボウイルスB19の抗体があり、感染の可能性があるという検査結果の人で、血液にヘモグロビンが少ない傾向がありました。
ヘモグロビンは血液の中で酸素を運ぶ物質で、ヘモグロビンが少なく、脳など全身が酸素不足になる状態が貧血です。パルボウイルスB19が特定の場合に貧血を急激に悪化させることも知られていますが、この研究では感染した人全体が貧血に近づいていることが示唆されました。
パルボウイルスB19は大人にも感染し、深刻な事態を引き起こすことがあります。妊娠中は発熱している人に近づかないなどの対策が勧められています。ここで報告されたほかさまざまな面で危険性があり、注意が必要です。
執筆者
Human parvovirus B19 and low hemoglobin levels in pregnant Sudanese women.
Int J Gynaecol Obstet. 2015 Nov 24. [Epub ahead of print]
[PMID: 26674318]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。