◆自殺した人としなかった人を比較
研究班は、台湾全国のデータから、自殺した人と自殺未遂で入院した人で合計2,199人と、自殺や自殺未遂のない人を選んで対象としました。そのうちでゾルピデムを使っていたかどうかが自殺・自殺未遂と関連するかを、統計解析により調べました。
◆ゾルピデムを使った人で自殺・自殺未遂が多い
次の結果が得られました。
潜在的な交絡因子、たとえば併存症として統合失調症、うつ病、双極性障害、不安、不眠、薬物使用、[...]を調整したうえで、ゾルピデム曝露は自殺または自殺企図のリスクと有意に関連し、オッズ比2.08(95%信頼区間1.83-2.36)であることが見られた。
ゾルピデムを使っていた人のほうが、使っていなかった人よりも自殺・自殺未遂が多いという結果でした。
この結果から、ゾルピデムを使わなければ自殺を防げるかどうかは正確にはわかりません。うつ病などでもともと自殺の危険性が高い人がゾルピデムを処方されやすかった可能性については、計算上で調整されていますが、計算に入っていない要素が関わっていた可能性は完全には否定できません。
こうした統計から、ケアが必要な人を適切に選んで、対策に役立てることができるかもしれません。
執筆者
Association Between Zolpidem and Suicide: A Nationwide Population-Based Case-Control Study.
Mayo Clin Proc. 2016 Jan 6. [Epub ahead of print]
[PMID: 26776243]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。