2015.07.07 | ニュース

亜鉛が眠りを深くする?ノンレム睡眠に与えた効果

マウスで実験、筑波大学から

from Molecular nutrition & food research

亜鉛が眠りを深くする?ノンレム睡眠に与えた効果の写真

睡眠のしくみについては多くの研究があり、脳の活動との対応が明らかにされつつあります。筑波大学などの研究班が、亜鉛の働きを調べる研究の中で、亜鉛が睡眠に与える影響について実験を行いました。亜鉛は人間の体内で微量に使われ、脳の中でも働いていると考えられています。亜鉛を与えられたマウスに、ノンレム睡眠の時間が長くなる変化が見られました。

◆マウスの睡眠を観察

研究班は、マウスに亜鉛を含む酵母エキスを与え、睡眠中の脳波を観察しました。

 

◆ノンレム睡眠が長くなった

実験から次の結果が得られました。

亜鉛を含む酵母抽出物(40mg/kgまたは80mg/kg)は用量依存的にノンレム睡眠の総量を増加させ、自発運動を減少させた。ただし、この製剤はレム睡眠の量を変えず、睡眠導入後24時間のうちに不眠症のリバウンドのような有害作用を示すこともなかった。他方、ほかの2価陽イオン(マンガン、鉄、銅)を含む抽出物は自発運動を減少させることがなかった。

亜鉛を与えられたマウスでは、レム睡眠の時間には変化がなく、ノンレム睡眠が長くなりました。亜鉛の量が多いほうが変化が大きくなっていました。

研究班は「このデータは、睡眠を改善するよう設計された新しいタイプの食品サプリメントへの道を開く」と結論しています。

 

マウスで得られた結果が人間に当てはまるかどうかはわかりません。また、健康な人と睡眠障害がある人とで違いがあるかどうかも気になるところです。治療効果が期待できるまでにはまだ長い道のりがありますが、興味を引かれる結果です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Zinc-containing yeast extract promotes non-rapid eye movement sleep in mice.

Mol Nutr Food Res. 2015 Jun 23 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26105624]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る