2016.01.26 | ニュース

コンピューターを使った訓練でアルツハイマー病の認知機能改善

35人の患者で検証

from Journal of physical therapy science

コンピューターを使った訓練でアルツハイマー病の認知機能改善の写真

アルツハイマー病は、記憶や思考力が徐々に障害されていく脳の病気です。この病気に対する研究はすすめられていますが、治療法は未だ確立されていません。今回、アルツハイマー病患者に対するコンピューターを用いた訓練の有効性を検討しました。

◆コンピューターを用いた認知リハビリテーションの有効性を検証

今回、35人のアルツハイマー病患者を対象に、コンピューターを用いたリハビリテーションを実施し、その効果を調べました。リハビリテーションは、週5回(30分/日)、4週間にわたって行われました。コンピューターを用いた認知リハビリテーション(COMCOG)は、コンピューターの画面上に言語や出てきた物品を記憶させ、患者がそれを想起しマウスで回答をクリックする訓練でした。

効果測定は、Cognitive Assessment Reference Diagnosis System (CARDS)と韓国版Mini-Mental State Examination-Korea (MMSE-K) を用いました。

 

◆認知機能が改善

介入の結果、以下が示されました。

評価の結果によると、COMCOGを受けた患者のCARDSスコアは、介入前後を比べると10単語の遅延記憶と10つの物品の遅延記憶、10物品の認識と即時記憶が有意に上昇し、10単語の認識は、有意に低下した。加えて、韓国版MMSEのうち、見当識、記銘、想起が統計学的に有意に増加した。

この結果は、COMCOGによって患者の認知機能が改善したことを示しています。

 

今回の結果から、コンピューターを用いた認知リハビリテーションが、アルツハイマー病患者の認知機能を改善する可能性が示されました。患者がコンピューターを扱うのにどの程度の支援が必要かなど、実現可能性に対する検討は必要かもしれませんが、アルツハイマー病患者に対する新たな支援方法として、さらなる研究が期待されます。

 

執筆者

NK

参考文献

The effects of computer-assisted cognitive rehabilitation on Alzheimer's dementia patients memories.

J Phys Ther Sci. 2015 Sep.

[PMID: 26504325]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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