2016.01.25 | ニュース

食道がん手前の状態「バレット食道」、コーヒーや紅茶に関係はあるのか?

310人のバレット食道患者と1728人の健康者を比較

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

食道がん手前の状態「バレット食道」、コーヒーや紅茶に関係はあるのか?の写真

食道がんができやすい状態と言われるバレット食道は、がん予防のために注目されています。コーヒーや紅茶で食道に刺激が加わると影響はあるのでしょうか。データから関連性が調べられました。

◆ バレット食道は飲み物と関係あるのか?

バレット食道とは逆流性食道炎などにより食道の組織が変化した状態で、食道がんの発生率を高くする要素と言われています。

この研究は米国の兵役経験者の診療データベースから、310人のバレット食道と診断された患者と、1728人の健康者を選び、対象としました。対象者のデータからコーヒーや紅茶を飲むこととバレット食道が関連するかを調べるために統計的解析がおこなわれました。

 

◆ バレット食道とは関係ない

次の結果が得られました

[...]多変量解析で性別や人種を含む交絡因子を調整したところ、バレット食道になるリスクとコーヒーの飲用(調整オッズ比1.04;95%信頼区間0.76-1.42),もしくは、紅茶の飲用(調整オッズ比1.11; 95%信頼区間0.85-1.44)に関連性は見つからなかった。

研究結果では、コーヒーや紅茶を飲むこととバレット食道の関連性は見られませんでした。

 

バレット食道に飲み物はあまり関係はないのかもしれません。しかし、この研究は米国の兵役経験者を対象にして行ったため、この結果が体質や食習慣の違う日本人に一概に当てはまることではないかもしれません。バレット食道についての研究課題はまだまだありそうです。今後の研究に期待したいです。

 

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

Coffee or Tea, Hot or Cold, Are Not Associated With Risk of Barrett's Esophagus.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Dec 8. [Epub ahead of print]

[PMID: 26681488]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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