2015.12.17 | ニュース

脂質異常症(高脂血症)の薬を飲むと白内障が減った

1,873人を分析

from The American journal of cardiology

脂質異常症(高脂血症)の薬を飲むと白内障が減ったの写真

白内障は、目のレンズが濁ることで見えづらくなる病気です。白内障に関連する要素として、脂質異常症(高脂血症)や糖尿病などの生活習慣病があります。今回の研究では、脂質異常症を改善する薬を飲むと、白内障が減るか検証しました。

◆脂質異常症の薬スタチンの効果とは?

白内障に進行する要因として、動脈硬化につながる脂質異常症や糖尿病などが挙げられます。一方、薬もその危険因子として挙げられ、脂質異常症の薬であるスタチンにより白内障が進む可能性も報告され、脂質異常症の治療薬で白内障が進むかもしれないという矛盾がありました。

今回の研究では、脂質異常症の患者1,873人に薬治療を行うことで、白内障を発症する危険性にどのような効果があるか検証しました。薬は、スタチンとエゼチミブとしました。

 

◆白内障の危険性を減らす!?

以下の結果が得られました。

年齢、性別、プレドニゾロン治療、喫煙、ベースラインのLDLコレステロール、高感度CRPで調整したCox多変量解析により、スタチンとエゼミチブはプラセボと比較し、白内障への進行リスクを44%低くした(ハザード比0.56、95%信頼区間0.33-0.96、p=0.034)。

スタチンとエゼミチブで治療すると、白内障を発症する危険性が44%低くなるという結果でした。

 

白内障は進行すると失明する可能性もあり、予防が大事です。この結果のみでは判断はできませんが、脂質異常症を改善すると白内障への進行を止められるかもしれないということは、知っておいても良いかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Effect of Randomized Lipid Lowering With Simvastatin and Ezetimibe on Cataract Development (from the Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis Study).

Am J Cardiol. 2015 Dec 15

[PMID: 26602073]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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