2015.12.07 | ニュース

乳がんの検査は何を見つけているのか?マンモグラフィーに超音波検査を追加すると…

日本で40歳から49歳の女性を検査
from Lancet (London, England)
乳がんの検査は何を見つけているのか?マンモグラフィーに超音波検査を追加すると…の写真
(C) Picture Partners - Fotolia.com

マンモグラフィーは乳がんを見つけ出す検査として広く行われていますが、どんなに小さながんでも見落とさず発見するわけではありません。日本で、マンモグラフィーとともに超音波検査を行うことによる精度を調べる研究が行われました。

◆40代女性を検査して検査精度を調査

この研究は、40歳から49歳の女性で、過去5年以内に乳がんを含む悪性疾患を指摘されたことのない人を対象に行われました。

72,998人の女性が対象となり、対象者はランダムに、マンモグラフィーだけの検査を受けるグループと、マンモグラフィーと超音波検査の両方を受けるグループに分けられました。検査はどちらのグループでも2年のうちに2回行われました。

 

◆ステージ0、ステージIが見つかった

次の結果が得られました。

対照群よりも介入群で多くのがんが検出され(184 [0·50%] vs 117 [0·32%]、p=0.0003)、ステージ0およびステージIのものがより多かった(144 [71·3%] vs 79 [52·0%]、p=0.0194)。

超音波検査を併用したグループで184件、マンモグラフィーだけのグループで117件と、併用したほうが多くのがんが見つかりました。そのうちで、比較的早い段階のステージ0またはステージIのものが併用グループで144件と、マンモグラフィーだけのグループの79件に比べて多くなっていました。それより進行したステージIIまたはステージIIIのがんの数には差が見られませんでした。

 

マンモグラフィーの検査ではごく小さい乳がんも見つかりますが、その一部は治療しなくても死因になりにくいという説があります。ステージ0またはステージIでは何も治療しなくても10年生存率が90%以上と言われています。治療としては乳房を取り除く手術や放射線療法などが知られています。

また、アメリカなどの大規模研究で、40歳以上の健康な女性を対象に年1回のマンモグラフィー検査を行っても乳がんによる死亡の減少が見られなかったとする報告があります。

こうした背景を受けて、乳がんによる死亡率が日本の1.5倍近いと言われるアメリカでは、今年の10月にアメリカ学会が乳がん検診のガイドラインを改訂し、以前より少ない頻度でマンモグラフィーを勧めるようになりました(改訂前は40歳以上の女性で年1回、改訂後は45歳から54歳で年1回、55歳以上は2年に1回)。

この研究では複数の検査を行ったほうがステージ0またはステージIのがんが多く見つかるという結果でした。この結果は、人によってどんな検査が最適かをめぐる議論の中で今後参照されるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Sensitivity and specificity of mammography and adjunctive ultrasonography to screen for breast cancer in the Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial (J-START): a randomised controlled trial.

Lancet. 2015 Nov 4 [Epub ahead of print]

[PMID: 26547101]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。