2015.12.03 | ニュース

アトピーを亜鉛が和らげる?

細胞の培養実験から
from European journal of nutrition
アトピーを亜鉛が和らげる?の写真
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アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎は、免疫のしくみが過敏に働くことで起こります。こうしたアレルギー反応がある人にしばしば亜鉛不足も見られることから、亜鉛がアレルギー反応に対して及ぼす作用の研究が行われました。

◆亜鉛で培養するとアレルギー反応はどうなる?

研究班は、アレルギー反応がある人とない人の血液から、それぞれアレルギーに関わっている細胞を取り出し、亜鉛を与えて培養したときと、亜鉛なしで培養したときで、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)に対する反応に違いがあるかを調べました。

 

◆アレルギー反応をセーブ

次の結果が得られました。

50μmol/lの硫化亜鉛(Zn50)で培養することにより、CD3陽性T細胞のサイトゾル内亜鉛濃度は増加した。データから、Zn50とアレルゲンの組み合わせが、アトピー患者で血中単核細胞の増殖を有意に減少させることも示された。さらに、Zn50とアレルゲンの組み合わせは、IFN-γ/IL-10比の増加に表されるTh1サイトカインの応答を強化した。アトピー患者において、アレルゲンへの反応で、亜鉛は制御性T細胞を増加させ、CTLA4のmRNA発現を上方制御した。

亜鉛を与えて細胞を培養したとき、免疫の過敏反応が抑えられる変化が見られました

 

亜鉛を使った治療に結びつくかどうかは確かではありませんが、亜鉛は過敏反応に何かの影響を与えるのかもしれません。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー反応には、いくつかの治療法が知られていますが、人によって効果が出にくい場合や、副作用のため治療法が制限される場合もあります。この研究のような着眼点に、新しい治療法の生まれるきっかけがあるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Zinc enhances the number of regulatory T cells in allergen-stimulated cells from atopic subjects.

Eur J Nutr. 2015 Nov 20 [Epub ahead of print]

[PMID: 26589301]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。