2015.11.27 | ニュース

低炭水化物の食事は肥満に効果があるか?

12か月の食事療法の結果

from Nutrients

低炭水化物の食事は肥満に効果があるか?の写真

肥満やそれによって起こる病気の食事療法として、炭水化物の量を少なくする食事が研究されています。低炭水化物食によって、体重や体内の物質に起こる変化を観察する研究が行われました。

◆肥満のある人148人で比較

この研究では、肥満があり糖尿病や心筋梗塞などの病気はない成人148人が対象となりました。対象者はランダムに、低炭水化物食のグループと低脂肪食のグループに分けられ、12か月の食事療法を行うことで、体重やその他の変化を観察されました。

 

◆体重、アディポネクチン、ICAM-1に変化

12か月の時点で、低脂肪食のグループでは体重が平均1.8kg減少しましたが、低炭水化物食のグループでは平均5.3kg減少と、減少量が大きくなっていました

加えて、詳しい検査で以下の結果が得られました。

12か月時点で、低炭水化物食群の参加者は、低脂肪食群に比べてアディポネクチンの増加量が有意に大きく(変化量の平均差1,336ng/ml、95%信頼区間342-2,330、P=0.009)、ICAM-1の濃度減少が有意に大きかった(-16.8ng/ml、-32.0から-1.6、P=0.031)。

低炭水化物食のグループで、動脈硬化を抑えるとされるアディポネクチンが増加し、炎症反応に関わるとされるICAM-1が減少する変化が見られました。

研究班は「結論として、肥満のある人において、低炭水化物食は標準的低脂肪食に比べて、食事による体重変化の差にかかわらず、炎症の改善[...]に対して同様またはより大きい効果を現した」と述べています。

 

低炭水化物食の効果について、多くの研究があります。体重などの変化と物質の関係を含めて検討することで、より効果的な治療に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Effects of a Low-Carbohydrate Diet vs. a Low-Fat Diet on Novel Cardiovascular Risk Factors: A Randomized Controlled Trial.

Nutrients. 2015 Sep 17

[PMID: 26393645]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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