◆手術群と非手術群にランダムに振り分け
今回の研究は、中等度から重度の変形性膝関節症患者100人を以下のふたつの群にランダムに分けました。
- 12週間の非手術期間のあとに、手術を行う群(手術群)
- 12週間の非手術期間のあとも、手術を行わない群(非手術群)
この2群は、この他に専門家から運動や食事療法などについて指導を受けました。
◆手術をすると痛みは改善するが、悪影響も起きるかもしれない
以下の結果が得られました。
ITT解析により、人工膝関節全置換術群では、非手術群よりもKOOS4がより改善した(32.5 vs 16.0、調整済み平均差15.8、95%信頼区間10.0-21.5)。
人工膝関節全置換術群では、非手術群よりも重度な有害事象の数がより多かった(24 vs 6、p=0.005)。
変形性膝関節症では、手術をした方が12ヶ月後の痛み、日常生活の動作、症状がより改善するという結果でした。一方、手術をした群ではそれに伴って体に悪影響となること(有害事象)も多く起きていました。
変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術は、膝の痛みを軽くしたり、日常生活動作をうまく送るために行われるものです。しかし、年齢や患者さんの希望により、手術の適応や方法は異なります。医師から膝の手術を勧められた場合は、このような研究をもとに行われているということを心に留めておいても良いかもしれません。
執筆者
A Randomized, Controlled Trial of Total Knee Replacement.
N Engl J Med. 2015 Oct 22
[PMID: 26488691]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。