2015.10.29 | ニュース

乳がんの疲労、不眠、うつの症状を「電気鍼」で治療

ランダム化比較試験により検証

from Cancer

乳がんの疲労、不眠、うつの症状を「電気鍼」で治療 の写真

乳がんの症状のなかには、疲労や不眠などがあり、これは生活の質(QOL)の低下に結びつくと言われています。今回の研究では、そのような乳がんの症状に対する治療法として、電気鍼の効果を検証しました。

◆乳がん治療後の疲労、不眠に対する電気鍼の効果を検証

電気鍼は、体内に刺した鍼に通電し、鍼の効果を高める治療方法です。

今回の研究では、閉経後の乳がん患者で、抗がん剤(アロマターゼ阻害薬)の副作用と見られる関節の痛みがある女性67人を、電気鍼を行う群と対照群にランダムに分けました。

電気鍼は、痛みが出現している部位などに、8週間(最初の2週は週に2回、残りの6週は毎週1回)実施ました。

 

◆電気鍼で疲労、不眠がより改善

以下の結果が得られました。

12週間の介入と追跡期間で、電気鍼を行うとウェイティングリスト群と比較して、疲労(p=.0095)、不安(p=.044)、うつ(p=.015)が有意に改善し、睡眠障害(p=.058)は有意に改善しなかった。

電気鍼を行うことで、乳がん患者の疲労感や不安症状、うつ症状が改善するという結果でした。しかし、睡眠障害については、統計的に有意な改善を認めませんでした。

 

乳がんの治療では、手術、放射線療法、薬物療法が代表的です。しかし、これらの治療を行っても症状がある場合や、副作用が現れることもあります。そのような症状に対する治療法が確立されれば有用ですので、今後電気鍼の効果がさらに検証されることを期待します。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Electroacupuncture for fatigue, sleep, and psychological distress in breast cancer patients with aromatase inhibitor-related arthralgia: a randomized trial.

Cancer. 2014 Dec 1

[PMID: 25077452]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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