◆食欲の抑制に経頭蓋直流電気刺激が有効であるか検証
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、脳を頭蓋骨の外から刺激する手法です。陽極を置いた下の脳活動は促進され、陰極を置いた下の脳活動は抑制されると言われています。 また、食欲に関係している脳の部位として、背外側前頭前野が知られています。この部位の活動が低下していると食欲が増してしまうという仮説を立て、今回はそこにtDCSの陽極を設置して刺激を行っています。
今回の研究は、体格指数(BMI)が20kg/m2から25kg/m2の健康な成人14人を対象に行われました。対象者は、tDCSで8日間刺激を行うときと偽刺激を8日間行うときの両方に参加し、それぞれの時期にビュッフェで食事をし、食べた内容を比較されました。
◆tDCSでカロリー摂取量が14%減少
以下の結果が得られました。
1週間毎日tDCSの陽極刺激を行うと、偽刺激に比べて、全カロリー摂取量が14%減少した。
tDCSを行うと、ビュッフェで摂るカロリー量が減少するという結果でした。
今回の対象は肥満とは言えない健常な成人であったため、カロリー摂取量の制限が必要な人に対する効果は不明です。今後、そのような肥満症の患者を対象とした研究が実施され、その効果が示されれば、いつか病気予防のために電気刺激を行うことが選択肢のひとつになる日が来るかもしれません。
執筆者
Repetitive electric brain stimulation reduces food intake in humans.
Am J Clin Nutr. 2014 Oct
[PMID: 25099550]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。