2015.09.28 | ニュース

スマトラ島沖地震のあと、被災者の精神にどんな影響が残ったのか

スウェーデン出身被災者1万2千人の調査
from The lancet. Psychiatry
スマトラ島沖地震のあと、被災者の精神にどんな影響が残ったのかの写真
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自然災害を経験した人に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などのストレス関連障害、さらにほかの精神の問題が残ることがあります。2004年のスマトラ島沖地震に被災したスウェーデン出身者について、その後およそ5年間の調査が行われました。

◆スウェーデン出身者の自殺企図、精神の診断を調査

この研究は、次のようにスウェーデン出身でスマトラ島沖地震に被災したのち帰国した人を対象として、被災しなかったスウェーデン人と比べて、地震のあとおよそ5年間で自殺を図ったり精神の問題の診断を受ける頻度を調べました。

東南アジアから帰国したスウェーデン出身の被災者(8,762人の成人と3,742人の子ども)と、性別、年齢、社会経済的状態でマッチングした被災していない人で成人864,088人と子ども320,828人を同定した。

 

◆成人、子どもともに変化あり

次の結果が得られました。

曝露のなかった成人に比べて、曝露のあった成人は、精神疾患の診断を受けることが多く(547人[6.2%] vs 47,734人[5.5%]、調整ハザード比1.21、95%信頼区間1.11-1.32)[...]曝露のあった子どもと青年は意図が確かでない自殺企図(1.43、1.01-2.02)およびストレス関連障害(1.79、1.30-2.46)のリスクが、主に津波のあと3か月の間で、より高かった。

被災しなかった人と比べて、被災した人のうち成人では精神の問題を診断されることが多く、子どもではストレス関連障害などが多くなっていました

研究班は「自然災害の被災者は、続いて起こりうる精神的障害を予防し、発見し、緩和するための早期介入と能動的長期フォローアップの対象とされるべきである」と結論しています。

 

自然災害のあとに残る影響の一端が示されました。こうした精神の問題、特に自殺を防ぐために、大きな事例を詳しく調べたこの研究が、取るべき対策の手がかりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Psychiatric disorders and suicide attempts in Swedish survivors of the 2004 southeast Asia tsunami: a 5 yearmatched cohort study.

Lancet Psychiatry. 2015 Sep

[PMID: 26236006]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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