2015.09.26 | ニュース

肥満の人ではインフルエンザが重症になりやすいのか?肺炎などによる入院数の傾向

カナダの研究チームが82,545人を分析
from Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America
肥満の人ではインフルエンザが重症になりやすいのか?肺炎などによる入院数の傾向 の写真
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肥満はインフルエンザに付随して起こる病気の発症リスクを増やすと言われています。今回は、インフルエンザが流行する季節に肺や気管の病気で入院した人の数を調べた2011年の論文を紹介します。

◆入院と肥満の関連性を検証

1996年から2008年にカナダで行われた健康調査に参加した82,545人を対象に、インフルエンザシーズンに呼吸器疾患で入院した人を選び、肥満との関連性を検証しました。

呼吸器疾患として、インフルエンザとそれに伴う肺炎、急性呼吸器障害、慢性肺疾患のどれかに当てはまるものを集計しました。

 

◆肥満は入院を増やす

以下の結果が得られました。

肥満のクラス1(BMI30-34.9)(オッズ比1.45[95%信頼区間1.03-2.05])と肥満のクラス2、3(BMI35以上)(オッズ比2.12[95%信頼区間1.45-3.10])の人は、通常体重の人 よりも、インフルエンザシーズンに呼吸器疾患で入院しやすかった。

肥満の人は、インフルエンザシーズンに呼吸器疾患で入院する確率が高いという結果でした。

 

今回の結果には、肥満の人の様々な生活習慣が関連している可能性があり、一概に肥満インフルエンザ肺炎の直接の原因であるとは言えません。しかし、もしこの関連性が確かなのであれば、肥満の人には特別の注意が必要かもしれません。

やせることで入院を防げるかどうかはこの結果からはわからず、どんな対策が適切かを考えるには、ワクチンなどほかの方法とも見比べることが必要でしょう。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Obesity and respiratory hospitalizations during influenza seasons in Ontario, Canada: a cohort study.

Clin Infect Dis. 2011 Sep

[PMID: 21844024]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。