◆イングランド192万人のデータから
研究班は、イングランドの大規模追跡調査で得られた192万人のデータを使って、30歳以上の対象者について、2型糖尿病とほかの病気の関連を統計解析しました。
◆安定狭心症、心不全は増えるが腹部大動脈瘤、くも膜下出血は減る
次の結果が得られました。
中央値5.5年(四分位間範囲2.1年-10.1年)のフォローアップのうちに、113,638件の初発の心血管疾患発症が観察された。
2型糖尿病は末梢動脈疾患(調整原因特異的ハザード比2.98、95%信頼区間2.76-3.22)、虚血性脳卒中(1.72、1.52-1.95)、安定狭心症(1.62、1.49-1.77)、心不全(1.56、1.45-1.69)、非致死性心筋梗塞(1.54、1.42-1.67)と強い正の関連があり、腹部大動脈瘤(0.46、0.35-0.59)、くも膜下出血(0.48、0.26-0.89)とは負の関連があった。
2型糖尿病がある人では、その後安定狭心症、心不全などの発症が多くなっていましたが、腹部大動脈瘤、くも膜下出血の発症が少なくなっていました。
糖尿病は心臓や血管の病気と深く関係すると言われていますが、必ずしもすべての病気を同じように増やすわけではないかもしれないという結果でした。こうした関係がはっきりすれば、糖尿病がある人で特に気を付けるべき症状や検査項目、あるいは治療の目標を絞り込むための参考になるかもしれません。
執筆者
Type 2 diabetes and incidence of a wide range of cardiovascular diseases: a cohort study in 1·9 million people.
Lancet. 2015 Feb 26
[PMID: 26312908]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。