胆石があると急性膵炎を発症しやすく、胆のう摘出術によりそのリスクは減少
急性膵炎のリスクを上げる要因のひとつに胆石があります。今回は、『急性膵炎診療ガイドライン2015』で引用されている、胆石と急性膵炎の関連と、胆のう摘出術によりどのような効果が見られるか検証した1988年の論文を紹介します。
◆胆石がある患者の急性膵炎の発症リスクを検証
1950年から1970年の間に急性膵炎と診断され、胆石があった2,583名を対象に、胆石と急性膵炎の関連を検証しました。
さらに、急性膵炎前に胆のう摘出術を実施した場合に、急性膵炎の
◆胆石患者が急性膵炎を発症する可能性はかなり高い
以下の結果が得られました。
急性膵炎は89名の対象者だけに認められた(コホートの3.4%)。しかしながら、(胆のう摘出術前の)急性膵炎の相対リスクは、男性で14-35倍、女性で12-25倍に増加した。
膵炎の発症がない1,560名の患者で胆のう摘出術を行うと、相対リスクはそれぞれ、男性で1.9倍、女性で2.0倍と減少した。
胆石がある患者は、急性膵炎を発症する可能性が高く、胆のう摘出術を行うとその危険性は減少するという結果でした。また、すでに急性膵炎を発症していたあとに胆のう摘出術を行った人で、胆石が原因の急性膵炎が再発した人はいませんでした。
この結果も踏まえて、『急性膵炎
執筆者
Gallstone pancreatitis and the effect of cholecystectomy: a population-based cohort study.
Mayo Clin Proc. 1988 May
[PMID: 3361956]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。