2015.09.14 | ニュース

胆石があると急性膵炎を発症しやすく、胆のう摘出術によりそのリスクは減少

アメリカの研究チームが2,583名を分析
from Mayo Clinic proceedings
胆石があると急性膵炎を発症しやすく、胆のう摘出術によりそのリスクは減少 の写真
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急性膵炎のリスクを上げる要因のひとつに胆石があります。今回は、『急性膵炎診療ガイドライン2015』で引用されている、胆石と急性膵炎の関連と、胆のう摘出術によりどのような効果が見られるか検証した1988年の論文を紹介します。

◆胆石がある患者の急性膵炎の発症リスクを検証

1950年から1970年の間に急性膵炎と診断され、胆石があった2,583名を対象に、胆石と急性膵炎の関連を検証しました。

さらに、急性膵炎前に胆のう摘出術を実施した場合に、急性膵炎発症リスクがどのように変化するか分析しました。

 

◆胆石患者が急性膵炎を発症する可能性はかなり高い

以下の結果が得られました。

急性膵炎は89名の対象者だけに認められた(コホートの3.4%)。しかしながら、(胆のう摘出術前の)急性膵炎の相対リスクは、男性で14-35倍、女性で12-25倍に増加した。

膵炎の発症がない1,560名の患者で胆のう摘出術を行うと、相対リスクはそれぞれ、男性で1.9倍、女性で2.0倍と減少した。

胆石がある患者は、急性膵炎を発症する可能性が高く、胆のう摘出術を行うとその危険性は減少するという結果でした。また、すでに急性膵炎を発症していたあとに胆のう摘出術を行った人で、胆石が原因の急性膵炎が再発した人はいませんでした。

 

この結果も踏まえて、『急性膵炎診療ガイドライン2015』では、「胆石のある患者が急性膵炎を発症する相対リスクは、男性で14~35、女性で12〜25という報告がある。このリスクは、胆嚢摘出術により著明に減少する。」と記載されています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Gallstone pancreatitis and the effect of cholecystectomy: a population-based cohort study.

Mayo Clin Proc. 1988 May

[PMID: 3361956]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。