現在、この脱臼に対して行われている整復手法には、手術後の合併症や腕の動く範囲の制限などのデメリットが存在します。この研究では、現在の整復手法に変わる新たな手術法の効果を検証しています。
◆ 35人の肩鎖関節脱臼患者を長期的に追跡
この研究では、closed-loop double Endobuttonという道具を使うことで関節を固定する、新しい手法による手術を受けた35人の肩鎖関節脱臼患者を対象とし、およそ5年間の追跡を行いました。
◆長期的な結果も良好
長期的な追跡の結果、ほとんどの対象者において、肩鎖関節の状態は良好であり、手術後の感染症、合併症もみられなかったことがわかりました。詳細は次のようなものでした。
烏口鎖骨間の距離の平均は、1.1mm(-2.5mmから4.0mm)であり、2mm未満の患者は87%だった。さらに、Constant scoreの平均は98点、University of California, Los Angeles Shoulder Rating Scale scoreの平均は34点、American Shoulder and Elbow Surgeons Shoulder Scoreの平均は98点だった。
研究者らは、「今回、新しい手法により得られた結果は、保存療法による既存の結果よりも優れており、新しい手法は急性および慢性の肩鎖関節脱臼患者にともに推奨することができる」と述べている。
この研究では、比較による検証が行われていません。そのため、この研究で提案された新しい手術が、他の手法よりも優れた効果をもたらすのかどうかは、正確にはわかりません。他の観点からも良い点・悪い点を参照し、この新しい手法が治療の選択肢に加わるかどうか考えなければなりません。
執筆者
Continuous Loop Double Endobutton Reconstruction for Acromioclavicular Joint Dislocation.
Am J Sports Med. 2015 Aug 10
[PMID: 26272516]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。