インフルエンザ予防接種、5年のうち3年にミスマッチ
インフルエンザのワクチンはウイルスの型に合わせた多くの種類があり、流行する型を予想して使われますが、予想と違った型のウイルスが流行すること(ミスマッチ)もあります。最近のフランスでもミスマッチが見られたことが報告されました。
◆2003年から2013年の流行情報を解析
この研究の背景に、インフルエンザワクチンの使い方についての議論があります。3種類の
研究班は、フランスのインフルエンザの検査結果のデータを使い、2003年10月から2004年4月にかけてのシーズンに始まり、2012年10月から2013年4月にかけてのシーズンまで10シーズンの中で、B型ウイルスのミスマッチが起こっていたかを調べました。
◆B型は23.7%、ミスマッチあり
次の結果が得られました。
全体で49,919人の急性気道
感染症 の患者が検査を受け、うち16,287人(32.6%)がインフルエンザ陽性だった。B型ウイルスはすべてのインフルエンザ症例の23.7%の原因となった。インフルエンザB型の症例のうち、B-Yamagata型ウイルスは62.8%の、B-Victoria型は37.2%の原因となった。インフルエンザB型がすべてのインフルエンザ症例の10%以上の原因となった5シーズンのうち3シーズンで、インフルエンザB型ワクチンのミスマッチがあった。
対象とした範囲で、すべてのインフルエンザのうち23.7%がB型ウイルスによるものであり、B型ウイルスの流行が多かった5シーズンのうち3シーズンにミスマッチがありました。
研究班は「インフルエンザB型はすべてのインフルエンザ症例の1/4前後を起こし[...]インフルエンザB型ワクチンのミスマッチの頻度はかなりのものだった」とまとめています。
このように、毎年流行するウイルスの型を正確には予測できないことを背景として、日本でも2015年から2016年にかけてのシーズンでは4価ワクチンの接種が行われます。インフルエンザの流行による被害を最小限に抑えるため、こうした試みが続けられています。
執筆者
Ten influenza seasons in France: distribution and timing of influenza A and B circulation, 2003-2013.
BMC Infect Dis. 2015 Aug 21
[PMID: 26289794]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。