2015.08.18 | ニュース

インフルエンザワクチンが心筋梗塞の再発予防に効果あり

アメリカの研究チームが218名を分析
from Circulation
インフルエンザワクチンが心筋梗塞の再発予防に効果ありの写真
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インフルエンザワクチンの接種が心筋梗塞の予防に一役買う可能性について、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」に引用された2000年の論文を紹介します。

◆インフルエンザシーズンの冠動脈疾患患者を分析

今回の研究は、冠動脈疾患(狭心症心筋梗塞)を発症したことがあり、1997年10月から1998年3月の間にさらに新たに心筋梗塞が起こった患者と、その期間に心筋梗塞などがなかった患者のデータをさかのぼって、インフルエンザワクチン接種の有無との関連性を検証しました。

 

◆心筋梗塞とインフルエンザワクチン接種は関連性あり

調査の結果以下のことを報告しました。

過去のインフルエンザワクチン接種の有無で調整し、多重ロジスティック回帰により、心筋梗塞のリスクには、現在の高血圧(オッズ比4.96、95%信頼区間2.06-11.96、p<0.0001)、高コレステロール血症(オッズ比4.08、95%信頼区間1.67-9.99、p=0.002)、喫煙(オッズ比3.75、95%信頼区間1.76-7.98、p=0.001)、インフルエンザワクチン(オッズ比0.33、95%信頼区間0.13-0.82、p=0.017)が関連していることが明らかとなった。

インフルエンザワクチンを接種していた人に、心筋梗塞の発症が少なくなっていました。

 

インフルエンザへの感染と心筋梗塞の関連メカニズムは明らかになっていませんが、ガイドラインには著者らの言葉を引用し、「インフルエンザ感染が直接プラーク不安定化を来たしたり、あるいはクラミジア等プラーク不安定化を来たす他の感染を誘導したり、炎症サイトカイン発現誘導を介しプラークを不安定化させる等多因子説を提唱している。」と記載されています。

インフルエンザワクチンは毎年接種している人も多いと思います。狭心症心筋梗塞を発症したことがある方は、このような背景も念頭に置いて受けると良いかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Association of influenza vaccination and reduced risk of recurrent myocardial infarction.

Circulation. 2000 Dec 19

[PMID: 11120692]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。