2015.10.19 | ニュース

多くの種類のウイルスに対応したインフルエンザ4価ワクチンの効果は?

成人1,800人のランダム化試験
from Vaccine
多くの種類のウイルスに対応したインフルエンザ4価ワクチンの効果は?の写真
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インフルエンザワクチンはウイルスの種類ごとに違うものがあり、その年に流行するウイルスの型を予測して選ばれます。4種類のウイルスに対応した4価ワクチンの効果を調べた、2011年の論文を紹介します。

◆3価ワクチン vs 4価ワクチン

多くの国で使われている3価ワクチンは、インフルエンザA型ウイルスのうち2種類と、インフルエンザB型ウイルスのうち1種類を選んで、あわせて3種類のウイルスを予防できるようにしたものです。

しかし、予測と違う種類のB型ウイルスが流行する場合もあり、ワクチンで対応されていなかった種類のウイルスに対しては、予防効果が期待できません

この研究では、A型ウイルスの2種類とB型ウイルスの2種類に対応した4価ワクチンが、それぞれのウイルスに対して、3価ワクチンとして使ったときと同様に人体の免疫反応を引き起こせるかを調べました。

 

1,800人の成人が対象となり、3価ワクチンを接種する2グループと、4価ワクチンを接種するグループにランダムに分けられました。

3価ワクチンは、それぞれのグループで違う種類のB型ウイルスに対応したものを使い、4価ワクチンが標的とする4種類のウイルスについて、3価ワクチンを使ったときとの比較ができるようにしました。

 

◆各種ウイルスに対する反応あり

次の結果が得られました。

4価不活化ワクチンは非劣性の基準を満たした。抗体の幾何平均タイターの比はA/H1N1が1.09(95%信頼区間1.01-1.18)、A/H3N2が1.05(95%信頼区間0.96-1.14)、B/山形が1.10(95%信頼区間0.97-1.25)、B/ビクトリアが0.92(95%信頼区間0.82-1.03)だった。非自発的に報告された症状と有害事象は4価不活化ワクチン群と3価不活化ワクチン群で類似していた。

4種類のウイルスのすべてについて、4価ワクチンにより、3価ワクチンを使ったときと同程度の量の抗体が対象者の体内で作られました。副反応は3価ワクチンと4価ワクチンで同程度でした。

研究班は「4価不活化ワクチンはB型の両方の系統を標的とすることで、インフルエンザに対する防御効果をより大きくするかもしれない」と結論しています。

 

日本では従来3価ワクチンが使われていましたが、2015年の予防接種からは4価ワクチンが使われます。4価ワクチンの意義についてはこうした研究が背景にあります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A randomized, double-blind noninferiority study of quadrivalent live attenuated influenza vaccine in adults.

Vaccine. 2011 Nov 21

[PMID: 21983154]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。