2015.09.01 | ニュース

人工膝関節全置換術後の膝の痛みにどの麻酔法が効くか?

ランダム化比較試験により検証

from Anaesthesia and intensive care

人工膝関節全置換術後の膝の痛みにどの麻酔法が効くか? の写真

人工膝関節全置換術を行ったあとの膝の痛みは、眠れなくなるほど強い場合があります。今回紹介する論文は、手術後の膝の痛みに対して3つの治療法を比較し、どれがもっとも有効的か検証しました。

◆持続大腿神経ブロック(CFNB)、髄腔内モルヒネ(ITM)、これらの併用の3群で比較

人工膝関節全置換術を行った患者81名を、膝の痛みを伝える大腿神経の働きを薬で抑える大腿神経ブロック群(CFNB群)、鎮痛薬のモルヒネを神経の周りの空間に注入する群(ITM群)、CFNBとITMのどちらも行う群の3群にランダムに分けました。

治療後最初の24時間の膝の痛みを評価し効果を検証しました。

 

◆髄腔内モルヒネだけでは、その他の治療よりも効果が低い可能性

以下の結果が得られました。

24時間の時点で、ITMのみの群では、その他のグループよりも痛みの程度がより強かった(p=0.04 vs CFNB、p=0.01 vs 併用)。

髄腔内モルヒネのみを行うと、大腿神経ブロックや、大腿神経ブロックと髄腔内モルヒネの組み合わせで治療したときよりも、痛みが強かったという結果でした。

筆者らは、「この研究では、24時間時点において、CFNBはITMと比べて、痛みを減らし、モルヒネの消費量の減少と関連し、活動性を改善した。」と述べています。

 

人工関節の手術を行ったあとの膝の痛みを、できるだけ軽減する方法が今後も検証されていくことを期待します。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

A randomised controlled trial comparing three analgesia regimens following total knee joint replacement: continuous femoral nerve block, intrathecal morphine or both.

Anaesth Intensive Care. 2015 Jul

[PMID: 26099756]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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