透析患者では、体重が軽すぎると死亡する危険性が高い?
『慢性腎臓病患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドライン』では、「健康的な体重(BMI20~25)に到達もしくは維持すること」、つまり体重を増やしすぎず減らしすぎない管理が推奨されています。その根拠のひとつとなる2002年の論文を紹介します。
◆透析患者の死亡率に関連する栄養状態を調査
この研究は、7,719名の
栄養状態は、体格指数(
◆栄養状態が低いほど、死亡の危険が高まる
調査の結果、以下のことを報告しました。
6ヶ月の追跡期間で、BMI、血中アルブミン値、血中クレアチニン値の減少は、より高い死亡リスクと
有意 に関連していた。最もBMIが低い4分位の患者は、最も高い4分位の患者のそれよりも、死亡リスクが60%高かった。
追跡期間中にBMIが低くなった人では、死亡する率が上がるという結果でした。また、BMIが低いほうから1/4の人は、BMIが高いほうから1/4の人よりも、死亡リスクが60%高くなっていました。
筆者らは、「これらの栄養状態の指標を改善する治療は、血液透析患者の生存に重要なインパクトを与えるかもしれない。」と述べています。
一見すると、体重が過剰な方が身体に悪そうですが、今回の研究ではその逆の結果となりました。腎臓が悪いときには違う考え方が必要なのかもしれません。
これらの結果を受けて、『慢性腎臓病患者の血圧管理のためのKDIGO
なお、
執筆者
Mortality risk in hemodialysis patients and changes in nutritional indicators: DOPPS.
Kidney Int. 2002 Dec
[PMID: 12427151]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。