2015.08.19 | ニュース

腎臓が悪くなりにくい体重はどれぐらい?

アメリカ300万人の追跡

from The lancet. Diabetes & endocrinology

腎臓が悪くなりにくい体重はどれぐらい?の写真

慢性腎臓病の原因には生活習慣が関係していると考えられています。アメリカの300万人を超える追跡調査の結果、体重がある範囲より重すぎても軽すぎても、腎機能の低下の頻度が高くなっていました。

◆腎機能が正常な人を追跡

研究班は、米軍の兵役経験者の調査データを使い、腎機能が正常だった300万人を超える集団について、BMI(体重÷身長の2乗、22前後が健康的とされる)とその後の腎機能の変化に関連があるかを調べました。

 

◆BMI25から30で腎機能低下が少ない

次の結果が得られました。

3,376,187人の兵役経験者のうち274,764人(8.1%)に腎機能の急速な低下(5ml/min/1.73m2を超える低下)があった。腎機能低下のリスクが最も低かったのは、BMIが25以上30未満の患者だった。

検査値が一定以上低下する腎機能の悪化があった人の割合は、BMIが25以上30未満の人で最も少なくなっていました

 

BMI25から30は、「過体重」に分類され、ほかの観点からは減量を勧められることもよくあります。しかし、ここではそうした「過体重」の人に腎機能の低下が少ないという結果が見られました。

この研究の方法では、BMI25未満の人が体重を増やすことで腎臓によい影響があるかどうかはわかりませんが、その効果を調べる研究でも似た結果が出るなら、ほかの病気のリスクともあわせて、どの程度の体重を減量の目安とするべきかに影響があるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association of age and BMI with kidney function and mortality: a cohort study.

Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Jul 30 [Epub ahead of print]

[PMID: 26235959]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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