2015.08.25 | ニュース

インフルエンザ脳症に注意!1病院で11人の例

台湾の小児インフルエンザ患者84人の研究

from Journal of microbiology, immunology, and infection = Wei mian yu gan ran za zhi

インフルエンザ脳症に注意!1病院で11人の例の写真

インフルエンザウイルスに感染すると、活性化した免疫が自らの脳や神経にダメージを与えてしまい、脳症を引き起こすことがあります。台湾の研究班による2003年の論文は、小児インフルエンザ患者は少なからず脳症を発症することを報告しています。

◆5年間に収容された小児インフルエンザ患者の症例を記録

この研究では1997年から2002年までに1か所の病院で入院を必要とした小児A型インフルエンザ患者84人の症例を報告しています。対象となった患者の年齢は生後20日から16歳で、平均43.8ヶ月でした。84人中41人が男性で、43人が女性でした。

 

◆脳症を発症した小児インフルエンザ患者

脳症を含む、脳や脊髄などの中枢神経系に関する異常が現れた例が、次のように報告されました。

中枢神経系機能障害は26人の患者において報告されており、主に年齢の高い子ども(26例中18例)に起こった。これには11例の脳症、10例の脳炎、2例の無菌性髄膜炎、1例の精神異常、1例の熱性痙攣、1例の急性散在性脳脊髄炎が含まれていた。

84人の患者のうち、26人が中枢神経系に関する異常を示し、うち11人が脳症を発症していました

 

インフルエンザ脳症を発症した場合、けいれんや意識障害、さらに高いところから飛び降りるなどの異常行動といった症状が現れます。死亡率は30%、後遺症が残る割合は25%に達するとも言われます。

インフルエンザ治療薬に異常行動を起こす副作用があるのではないか、という声もありますが、ここでも報告されているように小児インフルエンザ患者はインフルエンザ脳症を発症することがあり、副作用の懸念は別として注意が必要です。

執筆者

伊藤駿汰

参考文献

Clinical characteristics of children with influenza A virus infection requiring hospitalization.

J Microbiol Immunol Infect. 2003 Jun 36

[PMID: 12886962]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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