インフルエンザにオセルタミビル(商品名タミフル)は効果があるか?副作用は?
オセルタミビルはインフルエンザの治療薬として知られていますが、副作用を心配する声もあります。オセルタミビルの効果と副作用について、過去の研究結果をまとめて報告した、2014年の論文を紹介します。
◆過去の研究を収集
研究班は、インフルエンザ治療薬のオセルタミビルとザナミビルについて、効果と安全性を調べた研究を集め、基準を満たした107件の研究から内容を検討しました。
◆症状を早く和らげるが、入院を防ぐ効果は見られず
オセルタミビルの効果について次の結果が得られました。
成人の治療において、オセルタミビルは最初の症状緩和までの時間を16.8時間減らした(95%信頼区間8.4-25.1時間、P<0.0001)。
喘息がある子どもには効果が見られなかったが、インフルエンザ以外には健康な子どもには効果が見られた(平均差29時間、95%信頼区間12-47時間、P=0.001)。
成人のオセルタミビルによる治療は入院について
有意 な効果を示さなかった(リスク差0.15%、95%信頼区間-0.78から0.91)。子どもに対して、また予防としても同様に、有意な効果は見られなかった。
オセルタミビルの治療により、成人では症状が和らぐまでの時間が16.8時間短くなる効果があると見られました。
子どもに対しては、喘息がある子どもでは効果が見られず、インフルエンザ以外の病気がない子どもでは症状が和らぐまでの時間が29時間短くなる効果があると見られました。
成人に対しても、子どもに対しても、入院を少なくする効果は見られませんでした。
副作用の可能性があることとして、吐き気などが見られたほか、次の結果が得られました。
2件のオセルタミビル治療の「ピボタル」試験、WV15670とWV15671において、1日あたり150mg(標準的用量)および300mg(高用量)の使用に対して精神イベントの用量反応効果が見られた(P=0.038)。
オセルタミビルによる予防効果の研究で、試験治療集団について、精神の有害事象は薬剤使用中・非使用中の組み合わさった期間において増加した(リスク差1.06%、95%信頼区間0.07-2.76、NNTH=94、95%信頼区間36から1538)。
オセルタミビルを使った人で、精神の症状が多くなっていました。
オセルタミビルの効果と副作用については多くの議論があります。この論文よりあとにも過去の複数の研究を総合するタイプの研究があり、それぞれ別の結果が報告されています。
オセルタミビルと精神神経症状の関係が話題になることもあり、この研究では「精神の有害事象は[...]増加した」とされていますが、オセルタミビルを使うかどうかに関わらず重症のインフルエンザではインフルエンザ脳症による症状が起こりうることが知られており、副作用かどうかとは別に注意が必要です。
インフルエンザの治療の中でオセルタミビルの位置付けを考えるために、ひとつの材料になるかもしれない論文です。
執筆者
Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children.
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Apr 10
[PMID: 24718923]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。