肝臓がんの治療法、肝動脈塞栓術で生存率は向上する

肝細胞がんに対する肝動脈塞栓療法の有効性について、『科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン』に記載されています。この根拠のひとつとなる2002年の論文を紹介します。
◆化学塞栓療法を行う群と対照群にランダムに振り分け
肝動脈
肝動脈塞栓療法を行うとき、
研究は、切除不能の肝細胞がん患者80名を対象に以下の通りに行われました。
[...]、リピオドールとゼラチン海綿状粒子のなかにシスプラスチンを含む乳化液を注入し、化学塞栓療法を行った治療(化学塞栓療法群、40名)または
対症療法 (対照群、40名)にランダムに振り分けられた。化学塞栓療法は、明らかな禁忌や病気の進行がない限り、2-3ヶ月ごとに繰り返された。
化学塞栓療法を行う群と、対症療法を行う群の2群に分類し、生存率に効果があるか検証しました。
◆化学塞栓療法は生存率を向上する
調査の結果、以下のことを報告しました。
化学塞栓療法は、明らかな
腫瘍 の反応を示し、保険数理上の生存率は対照群(1年:32%、2年11%、3年:3%、p=.002)よりも化学塞栓療法群(1年:57%、2年:31%、3年:26%)で有意 に良好であった。
化学塞栓療法を行った群では、対症療法を行うよりも生存率が高いという結果でした。
筆者らは、「アジア人の切除不能の肝細胞がん患者では、リピオドールによる肝動脈化学塞栓療法は生存率を有意に改善し、効果的な治療の形態である。」と述べています。
『科学的根拠に基づく肝癌
執筆者
Randomized controlled trial of transarterial lipiodol chemoembolization for unresectable hepatocellular carcinoma.
Hepatology. 2002 May
[PMID: 11981766]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。